2020 Fiscal Year Research-status Report
Positionality Changes in the Sino-Russian borderlands: Searching for a Local model of Resource Economy
Project/Area Number |
18K18538
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
堀江 典生 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (50302245)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | ボーダースタディーズ / ポジショナリティ / 資源辺境地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,利害対立が生じている資源辺境地域のポジショナリティが,地域住民,移民,政府,内外資本などナショナル・アクター,ローカル・アクター,そして外国ア クターなどが交差するなかでどのようにポジショナリティを変容させてきたかを,中露国境地域を対象に研究を進めている。本研究の中心概念「ポジショナリティ・シフト」を軸に,土地資源を巡って,中国資本,中国人労働者,連邦政府,地方政府,土地所有者,地元農 業従事者の利害が交差する 中露国境地域のポジショナリティの変容を国際共同研究の枠組みで研究を行っている。本研究は,特定の場や空間における様々なステークホルダーの交差によって生み出されるローカルな「アッサンブラージュ」に着目する近年の経済地理学の新たな潮流に参画し,新たな経済地理学的視点からボーダースタディーズの進化を試みるものである。 そのために最終年度である令和2年度においては,中露国境地域におけるフィールドワークによる最終作業や国際学術会議における研究成果発表を予定していたが,残念ながら,国際的な新型コロナウイルス感染拡大に伴い,現地調査は行うことができず,また,参加を予定していた国際会議は延期となり,当初想定していた活動ができなかった。 反面,令和元年度に国内学会および国際学会において口頭発表を行った研究成果の論文化に努め,その成果が羽場久美子編『移民・難民・マイノリティ:欧州ポピュリズムの根源』(彩流社,2021年)所収の「ロシアにおける移民のランドスケープ:ルイナックと反移民感情」として公刊されるなど,一定の成果を社会に還元することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終年度である令和2年度においては,中露国境地域におけるフィールドワークによる最終作業や国際学術会議における研究成果発表を予定していたが,残念ながら,国際的な新型コロナウイルス感染拡大に伴い,現地調査は行うことができず,また,参加を予定していた国際会議は延期となり,当初想定していた活動ができなかった。 反面,令和元年度に国内学会および国際学会において口頭発表を行った研究成果の論文化に努め,その成果が学術書として公刊されるなど,一定の成果を社会に還元することができた。 また,本研究において中露国境地域において様々なアクターが資源と見なしているのは,土地であり,大豆生産であるが,従来の研究においては,土地利用の正確な把握は,公式統計の信頼性が低く,十分に行われておらず,代替的な土地利用規模把握に関して新たな研究アプローチを模索し,現在,研究を進めている。予備的な研究を終え,来年度においてその成果を加味した研究成果の発表ができるように準備をしている。このことは,新型コロナウイルス感染拡大に伴い,当初の研究計画が進まないなか,試行錯誤を行った結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス蔓延が日露両国で落ち着き,渡航および調査が可能になれば,現地でのフィールドワークを再開し,同時に,ロシアの研究機関等において研究成果の公表を行い,研究成果の精緻化を行う。 ただし,現状では,渡航および調査が可能になるかどうか余談を許さない状況であるため,最低限,下記の研究活動の実施に努める予定である。 1)大豆生産に関わる中露国境地域のポジショナリティに関する論文を英文書籍所収論文として公表する予定であり,発行に向けて論文を精緻化する。 2)中露国境地域における土地利用変化の実証研究に関する論文の完成に向けて作業を進め,国際的に定評のある学術誌に投稿する。 3)これらの研究成果を国内外学会において口頭発表し,フィードバックを受ける。 4)本研究課題の成果をもとにして,新たな研究プロジェクトの創出を行う。
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Causes of Carryover |
国際的に新型コロナウイルスが蔓延する事態となり,当初計画し,参加予定としていた国際学会が延期となり,また,同じく当初予定していたロシアでのフィールドワークも実施できなくなったことから,大幅に研究計画の変更を余儀なくされたため。次年度に,国際学会への参加とフィールドワークの実施を企画するとともに,新型コロナウイルスの影響により計画通りに実施できなくなった場合は,代替的な方法で国際学会での研究成果公表を行うとともに,国際学術誌への投稿,文献および資料収集などを強化するにより研究計画の遂行を代替する予定である。
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