2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Tempo-Spatial Analysis of Formation Process of Regionality in The Prehistory: Case Study in Southern Region of China
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18K18545
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
渡部 展也 中部大学, 人文学部, 准教授 (10365497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西江 清高 南山大学, 人文学部, 研究員 (10319288)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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Keywords | 地理情報 / ネットワーク / 交通路 / 地域形成 / ABS / 相互作用 / 中国考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、これまでに構築してきたABSによる空間相互作用のシミュレーターに、エージェントの目的地の選択行動、試行を連続的に記録する機能と作用過程の可視化の機能を改良・追加し、変化過程の定量的な分析と視覚的な理解を補助する仕組みを整えた。これをもとに、幾つかの配置パターンに対して情報の集積と中心化の過程について分析を行い、ネットワーク分析で接続性の評価に用いられる"Betweenness centrality"や確率的に計算された指標との比較を行った。 これらの結果から、大きな傾向としては、これらの統計値から予想される情報の偏りと一致する事が確認できた一方で、必ずしも空間配置上の中心が中心化しない条件(配置パターン、パラメータそれぞれの特徴により)が存在する事も確かめられた。大きな枠組みで言えば、大局的にネットワークの全体を把握した状態で行われる情報の集積過程と、近視的に、周辺のみを理解したエージェントがボトムアップで情報集積を行う過程の違いが確認されたことになる。さらには、これらの差が生じる具体的な過程について、シミュレーターを通して実験・観察する事で、そのメカニズムについても効果的に考察できることを確認した。 この分析を新石器時代の中国南部の遺跡分布についても試行し、基本的な配置パターンに対して行った実験から得られた知見も踏まえて考察を行った。先の選択行動には、「よく知る目的を選ぶ」と「遠くの情報・多様な情報に触れられる目的地を選ぶ」の二つを設計したが、後者の方が遺跡の分布、河川交通等の面で見た遺跡の重要度と整合性が良い結果となった。 主に空間的な配置と、その影響による相互作用のしやすさ、という枠組みではあるが、地域性形成に関わる「(情報)交換」の過程について、時空間動態として確認する実験的箱庭を構築する事が出来た。
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