2022 Fiscal Year Research-status Report
法学・心理学・脳神経科学の学際的研究による取調の適切性を評価する客観的尺度の構築
Project/Area Number |
18K18555
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
山崎 優子 駿河台大学, 心理学部, 准教授 (20507149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲 真紀子 立命館大学, OIC総合研究機構, 教授 (00172255)
指宿 信 成城大学, 法学部, 教授 (70211753)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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Keywords | 取調べ / オープン質問 / 法心理学 / 脳神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、法学者・心理学者・脳神経科学者による学際的研究を行い、取調の適切性が客観的に測定可能な指標(尺度)の構築を目指すことである。 本年度は、これまでに実施した心理学実験の結果について再分析を行った。 目撃者に対する取調べにおいて、自由報告を求めるオープン質問(例.あなたが見聞きしたことをすべてお話しください)は、正確でより多くの情報を引き出すのに有効であることが明らかにされている。しかし、オープン質問を中心に行う面接法を習得することは容易ではない。例えば、面接者が事件に関する複数の情報を得ている場合、その情報にもとづいて予断をもって取調べを行い、被面接者に対して暗示的な質問をする可能性もある。本実験では、事件の目撃者に対する面接場面において、事件に関する面接者の知識の有無、目撃者の個人特性(被暗示性、迎合性)や記憶能力(ワーキングメモリ)が、目撃者から得られる情報の質と量に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。 面接者と被面接者(目撃者役)の発話内容を分析した結果、事件に関する面接者の知識の有無が、面接者自身の発話内容に影響を及ぼすことが示された。つまり、事件に関する知識がない面接者が質問を行う場合、「事件の中心的事象」に関する質問が多くなる傾向にあった。また、被暗示性,迎合性の程度が低く,ワーキングメモリが平均以上の被面接者であっても、面接者の誘導や暗示の影響を受けることが示された。 以上の結果から、単にオープン質問を行うだけでは取調べの適切性は担保されないこと、事件に関する知識に左右されずに面接を行うためには、十分な訓練に加え、面接内容の適切性を常にチェックする必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、実験が計画通りに実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
計画していた心理学実験、MRI実験を実施し、データの解析、及び成果報告に尽力する。特に論文投稿を積極的に行う。
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Causes of Carryover |
計画していた実験が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。当該使用額については、実験参加者への謝金、及び論文投稿のための英文校閲費に使用する計画である。
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Research Products
(17 results)