2018 Fiscal Year Research-status Report
The Alliance Dilemma in the American and Japanese Public Minds
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18K18559
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
飯田 健 同志社大学, 法学部, 教授 (50468873)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 日米同盟 / インターネット調査 / 世論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究成果は主として次の3点に集約される。第一に、同盟への有権者の支持の要因について理論的な検討を行い、いくつかの検証すべき仮説を導きだした。まず最も基本的なものとして、自国が有事の際に同盟国に見捨てられる可能性(「見捨てられる恐怖」)を意識すると有権者の間で同盟強化への支持が上がる一方で、同盟国が関わる紛争に巻き込まれる可能性(「巻き込まれる恐怖」)を意識すると支持が下がる、というものである(仮説1)。また、同盟国の自国ではなく他の友好国への態度を観察することで、同盟国のコミットメントの信頼度合いを有権者が判断するというものである(仮説2)。さらに同盟関係における防衛義務を意識することで、有権者の同盟国を助けるために自国が武力行使することへの指示が上がるというものである(仮説3)。 第二に、これらの仮説のうち仮説1と2を検証するために、日本において2019年2月24日~3月2日にかけて楽天インサイト社に登録された18歳から79歳の男女1543名の割り当て標本に対してインターネットサーベイ実験を実施した。より具体的に、仮説1に関しては日米同盟強化の支持を結果変数に、また仮説2に関しては尖閣諸島で有事の際のアメリカによる介入への信頼度合いを結果変数としてそれぞれ統制群と処置群に無作為に割り当てることでサーベイ実験を実施した。 第三に、これらの仮説のうち仮説3を検証するためにアメリカにおいて2019年2月25~28日にかけてDynataに登録された18歳から79歳の男女1521名からなる割り当て標本に対してインターネットサーベイ実験を実施した。より具体的に、日本、台湾、NATO、韓国が有事の際のアメリカによる武力介入支持を結果変数に、それぞれ統制群と処置群に無作為割り当てを行うことでサーベイ実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究プロジェクトの目的は、1. 有権者の同盟支持の要因について理論的な検討を行い、2. 日米でインターネットサーベイ実験を実施することで、3. そのメカニズムを明らかにすることであった。このうち本年度は、1と2を実施する予定であったが、いずれも達成することができた。 とりわけ2については、2月末の米朝会談を利用した自然実験が行えたことから予定に無かった成果を得ることができた。より具体的に、2月末に米朝首脳会談が予定され会談の結果、同盟国アメリカの大統領が北朝鮮と友好関係を築くのか、それとも対立するのか不確実性が高かったことから、会談を挟んだ前後で調査を実施することで、その前後の実験における処置の効果の違いを検証することができた。以上の理由で、おおむね順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の進捗をふまえて、特に予想外のことは起きていないことから、予定どおり令和元年度は平成30年度に集めたデータを分析し、結果を解釈し理論的に検討した上で、実験デザインを見直し、それをふまえて再度日米でインターネットサーベイ実験を実施したい。
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