2019 Fiscal Year Research-status Report
The Alliance Dilemma in the American and Japanese Public Minds
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18K18559
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
飯田 健 同志社大学, 法学部, 教授 (50468873)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 日米同盟 / 世論 / 安心供与 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の実績としては次の二点が挙げられる。第一に、2020年3月に日本とアメリカでインターネット調査を実施した。日本の調査は2020年3月25~ 27日の期間、居住地域、年齢、性別で層化した楽天リサーチのパネルモニター回答同意者1179名に対して実施した。アメリカの調査は2020年3月25日~3月31日の期間、居住地域、年齢、性別で層化したDynataのパネルモニター(以下の層化)1117名に対して実施した。調査の目的は、日米両国の有権者の日米同盟に対する態度を検証することであり、日本ではどのような条件下でアメリカへの信頼が高まるのか、アメリカではどのような条件下で日本が有事の際の武力行使支持が高まるのか、いくつかのサーベイ実験を通じて検証した。 さらに昨年度の日米調査の分析を進めいくつかの興味深い結果を得た。例えば、昨年度の日本の調査は2019年2月の米朝ハノイ会談の前後に意図して合わせて行ったが、トランプが金正恩に対して妥協せず交渉が決裂した結果、会談前と比べて会談後の回答者の間では脅威認識が有意に低かった。また、こうした脅威認識の低下はとりわけ国際政治に関する知識が豊富な回答者および「見捨てられる恐怖」を強く感じる回答者の間で顕著に見られた。こうした結果は、同盟のシニアパートナーの強硬な態度はジュニアパートナーの安心供与に繋がるかという安全保障研究における論争に一つのエビデンスを提供することで、貢献しうるものである。この研究成果を2019年12月にメルボルンで開催された国際学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり2018年度、2019年度とそれぞれ日米でインターネット調査を行うことができており、この点で順調に進展していると言える。また、これらの調査データの分析についても2018年度の実験データについては2019年度中にすべて分析をし終えていることとから、この点でも順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2020年度は2019年度のデータを分析するとともに、興味深い結果が得られたものについては論文にまとめ、海外査読誌に投稿する予定である。ただし本年度の予算のほとんどが研究報告の旅費として申請していたものの、新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響により国内外の学会が中止されており支出の目途が立たないことから、日本において追加的なインターネット上でのサーベイ実験を実施することを検討している。
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