2018 Fiscal Year Research-status Report
Economic Analysis of Uncertainty and Firm Growth
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18K18567
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
大山 睦 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (20598825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 万理 一橋大学, 大学院経済学研究科, 講師 (70792688)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 不確実性 / 企業成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度であるため、今後の研究活動を行うためのデータベースの構築と分析フレームワークの検討を重点的に行った。分析フレームワークに関しては、企業がどのように将来の出荷額を予測するのか、予測の結果と実現値にズレが生じた時に、成長や利益率などの企業パフォーマンスにどのような影響を与えるのかについて理論的に考察するためのモデル構築を試みた。実証分析おいて取引ネットワークの影響も考慮するため、理論モデルにネットワーク効果も取り入れることを試みている。この理論モデルは本年度中に完成するに至らなかったが、次年度に行わなければならない作業は明確になった。JP-MOPSと『工業統計調査』を接続して、企業の特性と予測の関係を分析した。企業の予測の幅は企業サイズの負の相関関係があること、マネジメントとは正の相関関係があることなど、企業は体系的に将来の予測をしていることがデータで裏付けられた。また、帝国データバンクのデータとも接続して準備的な分析を行った結果、取引相手数と予測の間に負の相関関係があることが分かった。これらの分析結果をまとめ、Empirical Management Conference (場所: Harvard Business School)と帝国データバンクとの研究会で報告した。今後の研究結果の蓄積が必要であるが、報告を通じて専門家から有益なフィードバックを得る事ができた。研究分担者はDeveloping and Using Business Expectations Data (場所: University of Chicago)で、論文”Firm Performance and Macro Forecast Accuracy”を報告した。学会ではいくつか関連する研究が報告され、活発な議論が行われ、論文の進捗に役立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
挑戦的萌芽での研究課題である為、先行研究だけでなく、独自に創意工夫をしながら、研究を推し進める必要がある。研究代表者が担当するテーマでは、どのように企業が将来の出荷額を予測するかということ、それがどのように企業パフォーマンスに影響を与えるのかを理論的に明らかにすることが重要であり、ここに独創性が要求される。理論モデルは完成しなかったが、基本的な構成要素を特定化でき、次年度に理論モデルの作業を進捗させることができる目処が立った。実証分析においては、企業の予測と企業の特徴の関係、また取引相手との関係など、様々な角度から分析を行うことができた。研究報告を通じて得られたフィードバックをもとに、実証分析の方向性が明瞭になり、それらの分析の精緻化を行っていく。理論分析と実証分析を行き交うことができる状態になっており、次年度の研究への準備が十分にできている。 研究分担者が担当するテーマでは、企業のマクロ経済予測と投資、雇用、生産高の増加率が正に相関していること、また予測誤差が利潤、生産性と負に相関していることを日本企業の長期パネルデータを用いて実証的に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が主に担当するテーマで成果を得るためには、予測と取引ネットワークの関係を理論的にも実証的にも明らかにすることが重要である。したがって、取引ネットワークの構造と各企業の予測の関係を理論モデルに取り込むことに注力する。理論モデルの構築することによって、どのようにデータ分析を行うべきかの示唆を得ることになるのでこの作業が重要となる。この作業と並行して、取引ネットワークの構造と各企業の予測の関係に関してデータ分析を行う。帝国データバンクから提供されているデータとJP-MOPSのデータを接続して、実証分析ができる環境を整え、多くの実証分析を本格的に行う。ネットワーク分析においては、ネットワークの構造と企業のネットーワークでの位置をデータで捉える必要があり、大規模データなので工夫が必要となる。その際には、帝国データバンクや専門家から適切な助言や助力を得る。取引ネットワーク分析では標準的なネットワークの指標を用いることになるが、それらの分析から得られる結果を理論分析にフィードバックし、理論分析と実証分析の往復を行う。研究分担者が担当するテーマでは、研究成果の報告を通じて、成果の発信に注力する。 研究代表者と研究分担者は各々のテーマで主導的に分析を行うと同時に、意見交換をしながら、研究を進捗させる。また、ビジネス予測に関する国際学会(例:Conference for Developing and Using Business Expectation Data)にも積極的に参加し、意見交換や情報の共有を通じて、本研究の質を高める。
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Causes of Carryover |
参加した国際学会の支出が学会側の負担となったこと、参加予定の国際学会を取り止めたこと、データ利用の関係でリサーチ補助員の活用が遅れたことにより、次年度使用額が発生した。、国際学会への参加回数とリサーチ補助員の活用を増やすことにより、発生した次年度使用額および平成31年度分として請求した助成金を使用する。
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Remarks |
2019年1月29日にCAREE(一橋大学・帝国データバンク 企業・高度経済実証研究センター)にて「不確実性の源泉」というタイトルで研究報告を行った。
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Research Products
(3 results)