2019 Fiscal Year Research-status Report
Economic Analysis of Uncertainty and Firm Growth
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18K18567
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
大山 睦 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (20598825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 万理 一橋大学, 大学院経済学研究科, 講師 (70792688)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 不確実性 / 企業成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続いて、データベースの構築、データ分析、理論分析を中心に研究活動を行なった。データベースの構築では、組織マネジメントと工業統計調査の事業所レベルのデータを企業レベルのデータに集計し、帝国データバンクが提供する取引ネットワークデータとの接続を完了させた。このデータベースが完成したことにより、企業の予測と取引ネットワークの関係を深く分析できるようになり、暫定的ではあるが、興味深い結果を得た。具体的には、(1)取引相手数が増えるにつれて予測のブレが小さくなるが、予測の外れ度合いが大きくなる、(2)取引年数が増えるにつれて予測のブレも測の外れ度合いも小さくなる、(3) マネジメントの質が予測のブレを減少させるなどを挙げることができる。理論分析においては、企業と企業がネットワークを通じて繋がっている際に、相手の経済活動を考慮した上で、どのように自分の経済活動を予測するのか、またどのように相手の予測が自分の予測に影響を与えるのか、そしてそれらの予測がネットワークを通じてどのように伝播するのかをモデルを構築して分析を進めた。 International Management and Organizational Practices Survey Conference (場所: US Census Bureau、米国、ワシントンDC)において研究成果を報告した。取引ネットワークとマネジメントの関係を分析する方法は独創的であり、多くの参加者から興味を抱かれ、有益なコメントやフィードバックを得る事ができた。また、この学会ではいくつか関連する研究が報告され、活発な意見交換もなされ、国際的な共同研究へと発展した。また、一橋大学主催の政策フォラームにおいても研究成果の一部を一般向けに報告し、研究成果の社会への還元を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が担当するテーマでは、データベースの構築に予定より時間がかかってしまったが、データベースを完成させることができた。このことにより、次年度の実証分析が迅速に進むことが予想される。実証分析においては、暫定的ではあるが興味深い結果を得ることができ、本格的な分析と再検証へのステップとなった。理論分析についても、モデル構築が未完成ではあるものの、いくつかの理論的な洞察を得ることができ、精緻化する段階へと移行できる。理論分析から得られる洞察と実証分析をつなぐ作業を行うことができなかったため、次年度への課題となっている。研究報告を通じて得られたフィードバックをもとに、研究の独創性と方向性が明らかになり、論文執筆への準備に役立った。研究分担者が担当するテーマでは、研究成果を論文にまとめ、国際学術雑誌に投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年である為、研究成果物として論文を執筆することが主な目標となる。この目標を達成する為には、理論モデルの精緻化と実証分析での更なる検証と再検証、そして理論分析と実証分析の結合の作業を行う必要がある。特に、理論モデルから得られる洞察を実証分析に反映させる作業が重要となり、本研究の質を決定するので、この作業に多くの時間と労力を費やすことになる。また、日本経済学会などの国内学会、国内の大学で行われる研究会、国際学会に積極的に参加し、研究成果の報告も行う予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大防止の影響により、予定をしていた国際学会と海外出張がキャンセルになった為、次年度使用額が発生した。国際学会への参加回数とリサーチ補助員の活用を増やすことにより、発生した次年度使用額および令和2年度分として請求した助成金を使用する。
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Research Products
(3 results)