• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2019 Fiscal Year Research-status Report

Policy Simulation based on Field Experiments combined with Medical Database in Newly Emerging Economies

Research Project

Project/Area Number 18K18579
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

島村 靖治  神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (50541637)

Project Period (FY) 2018-06-29 – 2021-03-31
Keywords持続可能性 / 情報伝搬 / フィールド実験 / 社会ネットワーク / 医療保険 / 政策シミュレーション
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題は、ベトナムにおいて、特に医療保険制度の財政面での持続可能性に焦点を当て、問題の抜本的な解決策として地域未利用資源を活用した農法改善事業のフィールド実験を行い、その事業評価手法と政策シミュレーションについて新たな提案を行うことを目的としている。2年目である2019年度は、地域未利用資源を活用した鶏の餌付けに関する実験を行い、その成果をまとめた論文を公刊した。
同時に、持続可能な農業技術の情報伝搬に関する研究も進めている。2019年度は有機肥料の利用に関する研究を進めた。技術の普及については、農業技術普及員によるフォーマルな技術研修を通じたルートに加え、友人や知人を通じた情報の伝搬というインフォーマルなルートを通じた知識、技術の伝搬が考えられる。こうした2つのルートのうち、どちらがより効果的に技術の普及に貢献しているかを検証した論文を執筆し、国際学術誌へ投稿した。加えて、ベトナム中部の農村で行った独自調査データによる研究では、特にインフォーマルなルートについて、夫と妻の社会的ネットワークのどちらが農業技術の普及にとってより重要かというジェンダーの視点からの分析も行った。こうした研究成果をまとめて論文についても国際学術誌への投稿を終えている。
更に、ベトナム中部の農村で近年急速に普及が進んでいる新しい品種のコメの導入についての研究も進めた。有機肥料の利用に関する研究同様、フォーマル、インフォーマル、それぞれのルートを通じた技術普及について分析を進めているが、これまでの分析から農業技術普及員による技術研修は新しい品種を初めて導入する際に効果的である一方、翌年にも継続してその品種を使い続けるかについては友人や知人の行動を参考にしていることが明らかとなった。新品種のコメに関する研究についても学会発表を行うと共に、研究成果をまとめた論文を国際学術誌へ投稿したところである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題の進捗状況であるが、概して計画通り進行している。2年目である2019年度は鶏の餌付けに関する論文を公刊すると共に、持続可能な農業技術についての情報伝搬に関する3本の論文をまとめ、国際学術誌への投稿を行った。そして現在は、技術普及に関する研究に加え、持続可能な新たな農業技術の導入が人々の健康状態に与える影響についても研究を進めている。有機農法の導入は化学肥料の利用を減少させることが期待される。新品種のコメ(KH1)は収量を保ったまま農薬の利用を減少させることができるとされている。こうした新しい農法がどれだけ人々の健康状態を改善するのかについて研究を進めている。
並行して、鶏の餌付けに関する研究も更に進めていく。既に、これまで無駄になっていた地域未使用資源を活用した鶏の餌付け関する新しい技術は鶏の肉質を改善することがわかっている。現在は、こうした新しい技術の更なる普及を図るための実験を進めている。大きな懸念事項は新型コロナウィルス感染症の感染拡大による影響であるが、研究対象となっている中部ベトナムの農村においては、今のところ大きな影響は生じていない。日本人研究者の渡航は制限されているが、カウンターパートであるフエ農林大学およびフエ医科薬科大学の研究者が責任をもって実験の実施を遂行している。進捗状況については適宜、スカイプ等を利用したオンラインミーティングにより確認しており、大きな支障は出ていない。2020年度は、これまでに鶏の餌付け技術についてのトレーニングを行った10家計を起点に、それぞれの家計から別の家計へ新しい農業技術についての情報伝播を奨励し、追加的におよそ50家計へ農業技術の普及を試みる。そして、2020年度中に行う予定である当該農村での家計調査により、農業技術の普及方法に関する実効性ならびに効率性について検証を行う。

Strategy for Future Research Activity

本研究では、ベトナム中部の農村でフィールド実験を行う。もともとは、新しい鶏の餌付け技術をランダムに選ばれた人々にのみ教えるランダム化比較試験(RTC)を予定していたが、完全にランダムに対象家計を選定することは極めて困難であることがわかった。そこで、対象家計の選定方法については、最初に村で先駆的な役割を果たす10家計に対し技術導入を行い、そこから更に約50家計への追加的な技術普及を試みる。その際に、餌付け費用を0%,25%,50%,75%,100%の異なった割合で補助する。この補助金の割合をくじを使いランダムに割当てることで、1)補助金の割合の違いが新技術の導入の割合に影響を及ぼすのか?2)養鶏に費やす時間(エフォート)等に変化が生じるのかを検証する。そして、こうしたフィールド実験と共に、新技術の導入によりどの程度所得が向上するのか?健康状態の改善が図られるのか?疾病、疾患の罹患率が減少するのかを検証していく。加えて、フィールド実験と2020年度実施予定の村での悉皆家計調査により新しい農業技術に関する知識伝播についての空間ネットワーク分析を行う予定である。
本研究は、ベトナム中部のフエ農林大学とフエ医科薬科大学との共同研究として実施している。既にフエ農林大学とは複数年に渡る協力関係にあり、信頼関係の構築もできており、フィールド実験も順調に行われている。また、フエ医科薬科大学の協力により、通常では取得が難しい現地での医療データベースへのアクセスが可能になっており、現在の疾病・疾患の傾向、発症頻度、現在の医療費を把握することができる。それらの情報とフィールド実験の結果を合わせることにより、1)疾病・疾患の発症頻度の低下・改善予測、2)それに伴う医療費削減の規模予測、3)国家レベルで将来の医療費負担の規模の推測を行いたい考えである。

Causes of Carryover

2019年度実施の農村フィールド実験の支払いが年度を越えたため。

  • Research Products

    (3 results)

All 2020 2019 Other

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Fermenting rice bran and maize with Saccharomyces cerevisiae and feeding the fermented product to chickens2020

    • Author(s)
      Phan, T.H, Tran, T.T.H., Tran, S.T., Nguyen, H.Q., Tran, T.N., Le, D.T., Shimamura, Y., Kamisoyama, H., Duong, T.H.
    • Journal Title

      Journal of Livestock Research and Rural Development

      Volume: 32(2) Pages: -

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] 持続可能な農業技術の普及におけるソーシャルネットワークの役割 ―中部ベトナムの農村の事例―2019

    • Author(s)
      島村靖治
    • Organizer
      国際開発学会・人間の安全保障学会2019共催全国大会
  • [Remarks] 貧困削減のための持続可能なコミュニティ開発

    • URL

      http://www.oair.kobe-u.ac.jp/ssh/project/09.html

URL: 

Published: 2021-01-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi