2019 Fiscal Year Research-status Report
「美味しさ」を競争力とするデザインマネジメント:戦略×デザイン×人モデルの解明
Project/Area Number |
18K18586
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
井村 直恵 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (10367948)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 食の都 / 香港の食文化 / 京料理 / サン・セバスチャン |
Outline of Annual Research Achievements |
「美味しさ」を作り出す要因について、本年度は前年度からの調査・分析を学会発表すると共に、主に環境的要因を中心として調査した。前年度からの調査・分析の内容については、実践経営学会の全国大会で発表した。当該発表では、京料理の店舗を対象として、店舗の戦略・デザイン・料理人のキャリアの要因について、ヒアリング調査に基づき、報告した。また、環境的要因については、京都と香港が食の都と呼ばれるに至る歴史的・社会的背景につき、調査・分析した。この内容については、2020年2月3日に国際シンポジウムを開催し、発表した。京都の食文化は重層的で細分化されている。それらを分ける分析軸として、ハレとケという概念が重要である。一方、香港の食文化は英国の植民地時代からの歴史に影響され、多国籍ながら歴史的には支配者層(英国人)の食文化が香港島の山手を中心に形成される一方、地元住民の食文化が海沿いに形成された。その後、大きく分けて、西洋料理文化と中華料理文化との系統に別れ、重層的に展開すると同時に、中華料理文化においても広東料理以外にも、中国本土の各地の食文化が展開する多様性のある食文化が形成されることとなった。これらの研究成果については、今後論文化していく予定である。 料理店を対象とした調査は、日本以外に米国サンフランシスコとデトロイトで実施した。 一方では、2019年春に香港で起きた暴動をきっかけとして、香港を訪問して調査することが困難な状況が続いている。そのため、調査対象としてスペイン・サン・セバスチャンを新たに設定し、訪問調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
香港での現地調査が2019年度春の暴動をきっかけとして延期になっており、COVID-19により香港内での状況は変化しているが訪問して現地調査することが困難な状況は続いている。しかし、香港在住のFrancesco教授と共同調査することにより、ある程度の調査は継続することが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19が収束すれば、香港及びサン・セバスチャンを訪問し、予定したコンタクト先へのヒアリング調査を実施する。 それまでの段階では、京料理店を中心とした料理店の経営戦略について、国内での聞き取り調査を実施予定である。
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Causes of Carryover |
本年度訪問予定だった共同研究者のいる香港が5月以降暴動で訪問できず、同様に共同研究者がいる米国にも1月以降のCOVID-19の影響で訪問して調査することが出来なかった。2020年度にCOVID-19の状況が落ち着けば、訪問して調査を再開する予定である。
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