2018 Fiscal Year Research-status Report
The Survey Research of the Cconcept of Negative Social Networks and the Possibility of Empirical Research
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18K18593
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 賢示 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60734647)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 負の社会ネットワーク / サポート・ネットワーク / 相互行為 / 人間関係 / ウェブ調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「負の社会ネットワーク」概念についての検討、および本調査実施のための予備調査を実施することを主要な目的として研究活動をおこなった。関連して、サポート・ネットワーク項目を用いたデータ分析の結果について学会報告もおこなった。「負の社会ネットワーク」概念を考えるにあたり、その対概念となる「正の社会ネットワーク」についてまず整理をおこなった。研究協力者との研究会等を通じ、概念的検討については継続を重ねる必要について合意を得つつ、これまでの社会ネットワーク研究等で言及されることの多かった「重要なことを相談できる相手」が「正の社会ネットワーク」を構成する社会的紐帯であると考えることとした。いわゆるサポート・ネットワークは、支援の相互行為の背景に互いの信頼関係があると考えられることなどについて検討を重ねた。これにもとづき、「負の社会ネットワーク」は相互行為にあたって信頼感を持てない紐帯を中心として構成されるネットワークであると暫定的に整理した。以上の点についてはさらに検討を深める余地が残されており、今後も関連する先行研究のレビューを通じて概念の洗練に努めてゆく。 「負の社会ネットワーク」概念についての検討と並行して、本年度はウェブ調査による社会ネットワークの調査も実施した。さまざまな社会的役割を担う可能性の高い40歳~54歳までの男女を対象とし、上述の正負両面の社会ネットワークに関する質問をおこなった。負のネットワークは「ふだんの生活で付き合いにくさを感じたり、多少は用心をしながら付き合ったりする人」という質問文で操作化した。予備調査の結果、正負それぞれのネットワークに関する間柄の分布には違いがみられたほか、年齢層や性別による違いも確認できた。予備調査データの詳細な分析を今後進め、結果を本調査の設計・実施に活用してゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、「負の社会ネットワーク」概念に関連すると思われる先行研究の整理、およびウェブによる予備調査を実施することができた。負の社会ネットワークの操作化等については継続的な検討を要するが、予備調査を通じ、その測定が十分可能であることを確認できている。予備調査ではより簡便な質問も含めており、ネーム・ジェネレータ方式による測定との関連等を今後検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、予備調査データの詳細な分析を進めるとともに、本調査の設計・企画・実施をおこなってゆく。予備調査で正負両面の社会ネットワーク構成についておおよその情報を得たため、不必要な回答項目などの精査をおこない、対象者の回答負担を増やさないような調査項目を検討してゆく。また、予備調査では壮年層男女を対象としていたが、本調査でも同様の設計とするかについて、実質的・理論的側面を考慮しつつ対象を決定する。
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Causes of Carryover |
ウェブ調査の実施にあたり、調査事項とサンプルサイズ、対象者年齢層について精査をおこなった結果、当初よりも小さな予算規模で予備調査を実施できた。発生した次年度使用額については、本調査の円滑な実施のために充当する。
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Research Products
(1 results)