2020 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-disciplinary study of social inequality using public data in Japan
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18K18594
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田淵 貴大 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん対策センター疫学統計部副部長 (20611809)
大久保 将貴 東京大学, 社会科学研究所, 助教 (90807835)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 格差・不平等 / 公的統計 / 社会階層 / 健康格差 / 賃金格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
藤原は公的統計データを用いて職業的地位尺度を構築し,European Sociological Review誌に「現代日本社会における社会経済的地位と社会的地位:尺度の構築とその適用」(2020年5月)が刊行された.そしてこの枠組みを発展させ,ジェンダー別の職業的地位尺度の開発を行った.分析には「就業構造基本調査」のデータを用い,連関モデルを適用した.その結果,旧来のDuncanらの方法による社会経済的指標(SEI)とジェンダー別のSEIは高い相関を示すこと,しかし女性の職業的状況や所得差を説明する上ではジェンダー別SEIを用いたほうが説明力が高いことなどが明らかとなった.このような公的統計データで作成した尺度を適用するためのWeb調査を行い,世代間の職業の相関が分析された.田淵は「21世紀出生児縦断調査」のデータを用いた分析から,幼児期に朝食を抜くと,その後の幼児期の過体重=肥満が増加するが,その関連性には男女差がある可能性があることを明らかにした.公的統計データを用いた補正が独自のWeb調査データに対しても適用され,このような公的統計と社会調査の連携の有効性も確認された.大久保は2000年から2015年までの日本の国勢調査から構築したパネルデータを用いて,介護保険(LTCI)サービスの利用可能性が都道府県の雇用率に与える因果効果を推定した.さらに公的統計データを用いた研究会として「公開データを用いた社会階層構造と教育の変容に関する分析」を組織し,尾嶋史章(同志社大学),有田伸(東京大学),阪口祐介(桃山学院大学),吉田崇(静岡大学),古田和久(新潟大学),多喜弘文(法政大学),石田賢示(東京大学)が研究会メンバーとして参加した.本研究の成果の成果報告会は2021年3月25日(木)にオンラインによって行われ,8つの研究成果が報告された.
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