2019 Fiscal Year Research-status Report
社会・生活×学術・技術情報連関解析による生活材料工学の革新的研究パラダイムの創出
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18K18597
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森川 英明 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (10230103)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 社会 / 衣生活 / 国際化 / 繊維材料 / テキストマイニング / 多変量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,計量書誌学および科学計量学をベースに学術情報を分析し,その結果から知識マネジメント技術を用いて科学・技術と社会学との新たな接点を見つけて行くことを目的としている.具体的には,Internetのリポジトリやデータベース,Web上にある社会学,社会福祉学,家政学,被服材料学などに関連する書誌情報・言語情報(学術情報×技術情報)を定量的・定性的に分析し,得られた連関を自己組織化マップなどの俯瞰化(社会学-科学技術マップ)によって,新たな研究課題群の形成を進めるものである.本年度は「生活材料」として繊維材料を採り上げ,基本的な分析方法の検討を行った.具体的には,Web of Scienceの254分野のうち,[Technology]カテゴリの[Material Science & Textile]分野に注目し,これに含まれる33雑誌の中から "Textile Research Journal" および "The Journal of Textile Institute" の2誌を選択した."Textile Research Journal" については1931年~2018年までの88年間に掲載された11,728論文を,”The Journal of Textile Institute" については1923年~2018年までの96年間に掲載された5,478論文を対象とした.解析はPythonをプラットフォームとし関連する解析モジュールや統計言語Rなどを組合せながら進めた.テキストマイニングによる形態素分析等から得られた基本データを元に,時系列解析,ヒートマップ分析,クラスター分析,共起ネットワーク分析等を行った.その結果,約一世紀にわたる繊維材料研究の変遷を捉えることができ,その内容を一定の分類法によりカテゴライズすることが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度~令和元年度とWebサイトからの学術情報取得の自動化や解析について取り組み,具体的にはPythonを用いたクローリング,スクリプティング等のプログラム開発,およびRによるデータ分析を進めてきた.「研究実績の概要」で述べたように,本年度は開発したシステムも稼働し,繊維材料分野において歴史が長い代表的な2学術雑誌を対象として科学計量学的な解析を行った.当初の計画ではさらに数多くの雑誌・論文を解析するスケジュールであったが,やや遅れていると認識している.一方で科学技術をどのような枠組み・構造として整理して行くかが一つのポイントと考えており,学術論文のデータ分析を進めながらその手法と可視化技術について検討を行ってきた.論文としてはSDGsに関連する国際的な水問題と繊維材料との関連や,繊維・アパレルと国際市場の関わりに関する経営学的論文等を発表した.現在,テクニカルテキスタイルに関する論文も投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,①Web of Scienceの[Material Science & Textile]分野33雑誌について,学術情報の取得および解析を進める.②得られた書誌情報・本文テキストについて自己組織化マップなどの技術を用いたカテゴライズ,および分析を行う,③社会学的な分野をカテゴライズし,特に地球環境・社会環境・生活環境の変化に伴う社会学的課題,およびそれに関連する技術的課題について整理する,④科学技術情報および社会的課題について一定の方法で視覚化を行い,知識マネジメント技術により連関を構成する,⑤社会学における複数の課題に対して生活材料がどのような新たな貢献ができるのか,特にスマートテキスタイルやスマートクロージング等との関係から検討を進める予定である.
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Causes of Carryover |
基本的な解析方法をプログラム・システムとして構築するために時間がかかっている.この部分は重要なため,優先してきたため使用計画が遅れていた.今後,大量のデータを効率的に収集し,貯蔵し,解析するために,当初予定していた高性能ワークステーションおよび記憶装置(データストレージ)類,可視化のためのアプリケーション等を購入して研究を推進する予定である.
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