2020 Fiscal Year Research-status Report
社会・生活×学術・技術情報連関解析による生活材料工学の革新的研究パラダイムの創出
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18K18597
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森川 英明 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (10230103)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 繊維材料 / 衣生活 / テキストマイニング / 多変量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,科学計量学(Scientometrics)の手法をベースに学術情報を多角的に分析し,その結果と社会や産業の状況との連関をみつけ,さらに知識マネジメント技術を用いて科学・技術と社会学との新たな接点を見つけて行くことを目的としている.具体的には,Internet上に公開されている論文情報を対象としてそれらの書誌情報・言語情報(学術情報×技術情報)を定量的・定性的に分析し,得られた連関を自己組織化マップなどの俯瞰化(社会学-科学技術マップ)によって,新たな研究課題群の形成を進めるものである.本年度は昨年度に引き続き「生活材料」として繊維材料を採り上げ,"Textile Research Journal" に掲載された論文(1931年~2020年までの90年間,約13,000件)を分析した.具体的には,研究パラダイムの変化を解析するために,90年間の時系列について,1年・5年・10年などの間隔での分割,繊維素材コードによるクラスター分析,経済危機・恐慌や戦争など社会変化による分割軸をベースとした対応分析を行った.解析はPythonを用いてシステムを開発し,テキストマイニングによる形態素分析等から得られた基本データから,対応分析を実施した.その結果,研究パラダイムの変化や国際的な変遷等について一定の分析方法,および可視化手法を確立することができた.また中国におけるファッションビジネスを一つの事例として,テキストマイニングによる解析を進め,社会一般の見方・言説からは見えてこなかった本質について抽出することができたと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生活材料として重要な「繊維材料」を採り上げ,Journalサイト上にある書誌情報・要旨などの論文情報をスクローリング,スクレイピングによって収集するシステムを作成した.さらに得られた書誌情報をテキストマイニングすることにより,研究パラダイムの経時的変化,カテゴライズ,さらに対応分析等を行い,時系列図,ヒートマップ,ポジショニングなどの可視化を行った.さらに社会や生活,産業との連関について検討を進めている.その結果,アメリカにおける繊維研究開発テーマの時代的変遷が定量的なデータから明らかになり,パラダイムの変化をある程度捉えることができた.またテキストマイニングを用いてファッションとビジネスに関する連関についても分析を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はアメリカや中国だけでなく,イギリス,およびドイツなど欧州の研究パラダイムの変化と社会・生活・産業との連関について解析を進める.さらに知識マネジメント手法等との併用について検討を進める計画である.
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Causes of Carryover |
当初,海外研究機関における新たな生活材料工学に関するいくつかの実実験と,科学技術情報のセマンティックWeb構築のための打ち合わせを行う予定であった.令和2年度はドイツ,チェコ,スウェーデン,イギリス,インド,中国にそれぞれ渡航してそれぞれの大学で関連する実験を実施する予定であったが,COVID-19による渡航制限により叶わなくなった.このための渡航費および実験のための消耗品費,謝金について次年度に持ち越した.令和3年度に遅れている部分(上述)について実施し,本予算を執行する計画である.
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