2019 Fiscal Year Research-status Report
重大な環境被害を受けた中山間地域におけるリスクベースの社会・生態的環境の再生
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18K18602
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 浩和 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (20346125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 智子 和歌山大学, システム工学部, 教授 (30351240)
ルプレヒト クリストフ 総合地球環境学研究所, 研究部, 上級研究員 (90783895)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 社会・生態的環境 / 地域再生 / 文化的活動 / 環境被害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主として「スティグマ解消とリスクコミュニケーションの課題」、「経済的自立と都市農村共生・交流の課題」に取り組んだ。 福島の避難指示解除準備地域における住民帰還に向けた取り組みの一環として、住民との除染対策の情報共有を行い、ライフサイクル回復の実践を通して、農作物に対するスティグマ解消とリスクコミュニケーションの在り方を探った。また避難指示区域の近傍にあって避難指示が出されなかった地域での現地調査と住民へのヒアリングを実施した結果、農地の除染対策を進め、作物の放射能汚染の全量検査を実施するだけではスティグマ解消が難しいこと、一方で地域の取り組みを都心で生活する人々に広く理解してもらうこと、そのためにSNS等による情報発信や通信販売、農業体験など地道な活動を積み重ねていくことが重要であり、正確なリスクコミュニケーションによる信頼関係を構築することなど、今後の都市農村共生・交流に繋がる手がかりを得た。 また英国の旧産業地域において、環境被害を受けた土地がコミュニティフォレストとして整備され,都市農村の共生交流を促進している地域では、これまでの歴史や風土を理解し体験できる学習の場として重要な役割を担っていること、また長期的な整備や維持管理費用の確保のために、官民の複数の関係者によるパートナーシップが形成されていること、さらにフレンズグループなど住民主体の取り組みが展開し、自治体との協力が積極的に進められていることなど、環境被害を受けたカントリーサイド(中山間地域)の社会・生態的環境の再生のための知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度末に、国内外の研究者を交えた研究会で議論するとともに、重大な環境被害を受けた地域の社会・生態的環境再生のための提案を取りまとめる予定であったが、COVID-19の影響で次年度に繰り越すことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの調査結果について国内外の研究者を交えた研究会で議論するとともに、重大な環境被害を受けた地域の社会・生態的環境再生のための提案を取りまとめる。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、年度末に予定していた国内外の研究者を交えた研究会などが次年度に繰り越されたため、それにかかる費用が次年度に繰り越しとなった。
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