2020 Fiscal Year Research-status Report
重大な環境被害を受けた中山間地域におけるリスクベースの社会・生態的環境の再生
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18K18602
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 浩和 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (20346125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 智子 和歌山大学, システム工学部, 教授 (30351240)
ルプレヒト クリストフ 総合地球環境学研究所, 研究部, 上級研究員 (90783895)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 環境汚染 / 地域再生 / 文化的活動 / 社会生態的生産環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は日本(福島)と英国(ノースウエスト)で実施してきたそれぞれ2つのケーススタディを整理するとともに、「スティグマ解消とリスクコミュニケーションの課題」に関連して、震災後約10年の長期的視点で原発事故が地価変動に与えた影響に関する検討を行った。特に2011年震災後、土地価格の異常な高騰が起きていた「いわき市」を調査対象として、ヘドニックアプローチを用いた分析を実施した。その結果、AD(空間線量)の影響については、対象期間前半の2011~2014年ではなく、後半の2015~2018年において有意な結果が得られた。震災から数年経ってから空間線量の要因が土地価格に対して負の働きをしたことになる。またDSNPP(福島第一原子力発電所までの距離)については2013年では距離が遠いほど土地価格が上昇した一方、2017年、2018年では距離が遠いほど土地価格が下落したことが示された。RD(復興拠点)については、復興拠点に位置する地域はどれも土地価格が減少すること、GOS(ライフライン)の影響については2013年~2018年において有意な結果が得られた。以上のことから、「空間線量」や「原発までの距離」に関しては原発事故後2~3年の時期とその後4年以降の時期で土地価格への影響要因が大きく入れ替わっていたこと、一方、時期に関係なく「復興拠点」についてはマイナスの、「ライフライン」についてはプラスの土地価格への影響が示された。 本年度は国内外の研究者を交えたワークショップを開催する予定であったが、コロナウイルスの感染拡大により実現できず再度延期することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は国内外の研究者を交えたワークショップを開催する予定であったが、世界的なコロナウイルスの感染拡大により実現できず、さらに1年延期することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は国内外の研究者を交えたワークショップを開催する方針であるが、不可能な場合は対面式以外に多様なデジタルリソース等も利用した研究会を実施するとともに、重大な環境被害を受けた地域の社会・生態的環境再生のための知見を取りまとめる。
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Causes of Carryover |
COVID-19の拡大により、年度末に予定していた国内外の研究者を交えた研究会などが次年度に繰り越されたため、それにかかる費用が次年度に繰り越しとなった。
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