2018 Fiscal Year Research-status Report
産後ケアセンターの利用率向上を目的とした「ナッジ」に関するランダム化社会実験
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18K18614
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Research Institution | Yamanashi Gakuin Junior College |
Principal Investigator |
遠藤 清香 山梨学院短期大学, その他部局等, 教授(移行) (60710712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉澤 一孝 山梨学院大学, 経営学部, 准教授 (10781255)
石川 勝彦 山梨学院大学, 学習・教育開発センター, 特任准教授 (30714779)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 産前産後ケア / 子育て支援 / 援助要請 / 因子分析 / モンテカルロ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ニーズが高いと考えられているにもかかわらず人々が選択しないため、必要なサービスが利用されていないという選択エラーに対して、利用率を向上させる政策的介入法を探索することを目的としている。本年度は選択エラーを引き起こしている要因を特定するための調査研究を実施hした。本年度の研究実績を以下に挙げる。 (1)産前産後ケアセンターの利用率が低迷している理由を探索するために、県庁および山梨県産前産後ケアセンター協力し、山梨県内の市町村の乳幼児健康診査等において、妊産婦を対象にアンケート調査を行った。アンケート調査では対象者の属性、経済・家庭状況、産前産後ケアセンターの認知などについて回答を求めた。2018年度中に回収は完了し、2019年度初めの産後ケア事業推進委員会にて単純集計を報告する予定である。また、アンケート調査結果を統計学的に解析し、産前産後ケアセンターの利用を阻害している要因を特定し学術論文として発表する予定である。 (2)産前産後ケアセンターでインタビュー調査を行う中で、産後ケアを必要とする母親が、その必要度を過小評価する傾向があるのではないか、という仮説が立てられた。この仮説を検定をするために、短期大学生を対象に、子育てで遭遇する場面の困難度を評価する質問紙実験を場面想定法を用いて行った。回答を因子分析した結果、困難度が高い場面ほど、母親は困難度を過小評価し援助要請を行わないという傾向が明らかになった。この結果は、山梨学院短期大学研究紀要に紀要論文として掲載された。 (3)次年度行う予定であるランダム化社会実験において必要とされる統計量の統計学的な性質を明らかにするために、モンテカルロ法を用いた統計量の分析を行った。分析結果は、山梨学院経営情報学論集に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度行う予定であるランダム化比較社会実験にむけて十分な予備調査を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の研究結果により、母親は、自分が抱えている困難を過小評価し援助要請しない傾向があることが分かった。2019年度は母親にこのような傾向があることを踏まえて、産前産後ケアセンターの利用を促す方法を検討する。具体的には、母親自身ではなく、より客観的に母親の困難度を把握できる周囲の人に働きかける介入を行う。母親自身にサービスの利用を働きかける場合と周囲の人に働きかける場合とを比較するランダム化社会実験を行い効果の違いを実証する。
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Causes of Carryover |
研究は計画通り進んでいるが、予定よりも低コストで研究を進めることが可能となったため、次年度使用額が生じた。また、補助期間が半年であったため、予定していた物品購入に至らなかった。翌年度分として請求した助成金と合わせ、研究計画遂行に必要な物品購入、予算執行をしてい。
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Research Products
(2 results)