2018 Fiscal Year Research-status Report
帰国・外国人児童生徒散在地域の学校教員のためのJSL情報共有支援システムの構築
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18K18616
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
阿部 二郎 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50400057)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 日本語を第二言語とする児童生徒(JSL児童生徒) / 散在地域 / 学校視察 / 教育委員会 / 学習言語能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、日本語を第二言語とする児童生徒(JSL児童生徒)が在籍する北海道内の公立小中学校を視察した。また、北海道教育委員会主催の「帰国・外国人児童生徒等教育推進事業連絡協議会」にて道内各地の教育委員会およびJSL児童生徒の指導に当たる教員からの報告を聴取することで、現状の把握を行った。さらに、関連分野における書籍や論文等から、本邦におけるJSL児童生徒の一般的な状況や課題について整理した。具体的には、以下のとおりである。 まず、北海道教育委員会と連携しながら北海道内の小中学校6校(小学校4校、中学校2校)を訪問し、JSL児童生徒の状況を視察し、小中学校管理職および担当教員から課題点や対策等について聴取、協議した。なお、本調査は広域にわたり、述べ移動距離は2,000km超となった。これにより、都市部ではなくJSL児童生徒の分布の少ないいわゆる「散在地域」の実態を把握することができた。また、北海道教育委員会の協力を得て、録画DVDによる授業・指導光景の観察、双方向TV会議システムを用いた指導教員との協議を行った。これにより、当該システムを利用した遠隔地支援のメリットとデメリットが明らかとなった。 次に、帰国・外国人児童生徒等教育推進事業連絡協議会では、「特別の教育課程」による日本語指導の在り方等、現状のみならず今後の指導体制についても市町村教育委員会や担当教員と協議することを通し、北海道内の地方のおかれている状況を把握した。また、散在地域にあっていわば「孤立」した状況に置かれている学校が一堂に会しての協議に参加する中で、本研究の目標である、インターネット上に情報交換の場を構築することの意義が確認された。 また、書籍・論文からはJSL児童生徒の状況に加え、教科学習につながる学習言語能力に関する情報を得た。必ずしも新規の情報ばかりではないが、知識の精緻化をすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、インターネットを用いた支援システムを構築する準備段階に相当する。 北海道内のJSL児童生徒散在地域に位置する小中学校の視察、教育委員会や学校管理職、担当教員との協議などを通して、道内の実態把握を行ったことで支援システムの需要を測ることができた。 また、北海道教育委員会の双方向TV会議システムによる支援実践を通して、その短所をインターネットを用いた支援システムで補う可能性を見出すことができた。 書籍・論文から得られた情報は既知のものもあったが、情報をアップデートし、既知のものについても知識を精緻化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
北海道教育委員会と連携して、支援システムの在り方、教育委員会や学校の要望、個人情報等の扱い等、システム構築の具体的な点について詰めていく。 他の自治体において支援を実践している研究者と研究打ち合わせを行い、JSL児童生徒散在地区において活用できる情報が無いか探る。 具体的なWebデザインを決定し、支援システムを構築する。
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Causes of Carryover |
当初は、北海道内各地の小中学校視察訪問の旅費として予算を計上していたが、当該年度は北海道教育委員会と連携することで、同委員会が旅費を負担することとなったため、実質的に旅費が発生しなかった。 今後は、独自に小中学校視察訪問を行ったり、他の自治体の研究者と研究打ち合わせを行う際の旅費として使用する予定となっている。 また、その上で残余のある場合はWebシステムの構築を充実する予算として使用する。
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