2019 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of Achievement by Learning Log Analysis of Digital Textbooks and Teaching Materials in Primary and Secondary Education
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18K18620
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀田 龍也 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50247508)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | デジタル教科書 / デジタル教材 / ラーニング・アナリティクス / 学習ログ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,初等中等教育における学習者用デジタル教科書・教材の学習ログ等を解析することによって,学習者個々の,授業の局面ごとの学習成立を推定する技術を検討するものである。これまで教師が行ってきた学習成立の看取りやその対応に対し,情報技術によって積極的にカバーできる部分を見出し,教師の経験に頼って進められている指導から,学習者特性に応じて最適化された科学的な指導へと改善することが挑戦的研究としての意義である。 第1年次は,検定済の教科書コンテンツを実行可能にする学習者用デジタル教科書・教材用ビューアを機能拡張し,荒川区教育委員会の協力により,同区内のA小学校の第1学年から第6学年の算数科・社会科の学習者用デジタル教科書の操作ログを,14ヶ月に亘り,述べ280名分,約45,000レコード取得した。 第2年次は,この操作ログに対して,学年・教科毎に操作ログの多かったページを特定し,利用された機能とコンテンツ等を分析した。集計対象となった操作ログは,算数科15,999件,社会科23,841件であり,うち操作ログが一定時期に集中している学年の同日の操作ログを詳細に分析した。 その結果,算数科で最も多くの操作ログが確認された教科書の見開きページでは,グラフの拡大が多く利用されており,社会科では写真の拡大が多く利用されていた。最も利用された機能は,両教科ともポップアップであった。 教科書制作者に確認したところ,両教科とも,必ずしも拡大表示されることを意図したコンテンツではない場合があることがあった。今後,学習者用デジタル教科書が広く使用され,操作ログ数や種類が増え,より詳細な分析を行うためには,人手を介さずに情報の集約等の自動分析を可能とする操作ログの生成形式が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
挑戦的研究である本研究において最も困難であると想定されていたのは,検定済教科書をもとに制作された学習者用デジタル教科書に対し,汎用の市販ビューアの改造によって学習ログ取得可能とし,学校現場の実際の学習の場面での学習ログを中期的なスパンで取得することであった。研究計画の最も困難なこの段階を第1年次で通過できた。第2年次は,これらの操作ログをどのように絞り込み,教科書紙面と対応させてどのように分析すればよいかという知見が蓄積された。そのため順調な進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
第1年次は,操作ログを教科別,学年別,学習者用デジタル教科書の持つ機能別に,第2年次は,操作ログを教科別に,教科書紙面の個別コンテンツに対するクリック行為として分析した。 今後は,教科書の教材構造に対応した意味的な分析のためのメタ情報の付与や,学習者の学習過程の推定に繋がるような教師の授業設計との対応づけ,教師による学習成立の看取りとの一致度など,学習者用デジタル教科書を用いた学習活動における学習成立を推定する技術として提案できるよう,分析手法を検討する。
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