2019 Fiscal Year Research-status Report
障がい者の「弾きたい」を叶えつつ、学習だけでなくリハビリもする演奏支援装置
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18K18642
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西ノ平 志子 三重大学, 工学研究科, リサーチフェロー (40782660)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 障害者 / リハビリ / 楽器演奏 / 学習意欲 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は2018年度に開発した装置を改良し,リハビリ効果を確認するために使用頻度や腕の動きを確認できるようにした.改良装置を使って,県外在住の脊髄損傷の男性を被験者とした一年間の臨床試験を実施した.その結果,装置を使う前は,上肢に障害があるために一人では楽器の演奏ができなかったが,装置を使って練習することで3分間演奏を続けることができるようになった.身体機能についての計測も同時に行った.FIM(Functional Independence Measure)やROM-t(関節可動域検査),MMT(徒手筋力テスト)については,有意差のある変化は得られなかったが,QOLについては有意な変化がみられた.これらの結果について,学会や研究会で発表した. 2019年4月に九州工科大学で開催された国際会議CyBSPEED&Kyutech,5月に大阪府電気会館で開催されたSCI‘19,8月にマレーシアペナンで開催されたICOMMS2019,12月に早稲田大学理工学部で開催されたAAC研究会で研究発表をした.2019年9月には,兵庫県で開催された障害者が創る音楽祭「第12回アネラ音楽祭in神戸2019」で研究についての講演と,一年間の臨床試験に参加した頸髄損傷の男性とデモ演奏をした.また,装置の展示を行い,一般参加者に装置を使って楽器演奏を体験してもらった. 共同通信社から,研究内容について取材を受け,2019年11月に中日新聞やその他20社以上の新聞記事やインターネット記事に掲載された.掲載の後には,記事を見た全国の障害を持つ人から装置についての問い合わせがあった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の2018年度に装置を開発し臨床試験を開始し,2年目の2019年度は臨床試験の検証や,さらなる効果の検証のための装置改良をした.科研申請で記載した計画に概ね沿った進捗となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に改良した装置を使ったリハビリ効果の検証をし,これまでの成果を論文にまとめて発表する.
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Causes of Carryover |
(理由)ハードウェアの設計が遅れたため,計画していた台数を製作できなかった.そのため次年度使用額が生じた.また,2月,3月に学会発表や出張を予定していたが,コロナウイルス拡散防止のため出張や学会発表を取りやめたため. (使用計画)次年度に行うリハビリ装置の検証に使用する予定である.
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