2018 Fiscal Year Research-status Report
若年層におけるメンタルヘルス課題の革新的解決手法の構築と効果検証
Project/Area Number |
18K18643
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石見 拓 京都大学, 環境安全保健機構, 教授 (60437291)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上床 輝久 京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (20447973)
古川 壽亮 京都大学, 医学研究科, 教授 (90275123)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
Keywords | メンタルヘルス / iCBT / 完全要因ランダム化試験 / スマートフォン / 学生支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、臨床での効果が実証されている認知行動療法(以下CBT)の実践経験をもとに、様々な心理特性を有する学生の精神的健康を改善するためにアクセス性と効果を兼ね備えたスマートフォンCBTアプリケーション(以下iCBT)を開発しこの課題を解決することを目指している。本研究は、最新の試験方法であるMOST (multiphase Optimized Strategy)を用い、iCBTにおける5つの認知・行動スキルのコンポーネント(セルフモニタリング、認知再構成、行動活性化、アサーション訓練、構造化問題解決技法)との組み合わせにおける完全要因デザインによる無作為化介入試験を行い、更に効果修飾要因を分析することによって、対象者ごとに最も効果的なコンポーネントを明らかにすることを目的としている。 研究初年度となる2018年度は、研究を着実に遂行するために、トライアル運営委員会を構成しミーティングを月1回定期的に開催すると共に、研究事務局、臨床管理チーム、広告チームを構成し、体制を整えた。本研究のコアコンテンツとなる、5つのコンポーネントを組み合わせることが可能なiCBTを開発した。当初計画通りにパイロットフェーズを実施し、対象となった55名全員が2019年1月までにiCBTを用いたレッスン期間を完了した。割付けられた全レッスンのワークシート記入完遂者は55名中46名(84%)であった。パイロットフェーズの結果を踏まえ、アプリケーション及び試験デザインの修正を行った。 本試験の大規模なリクルーティングに向けて試験参加を呼びかけるちらし、動画広告コンテンツの作成を行うとともに、健康診断、大学生協等を通じた周知体制の構築を進めた。更に、研究参加者確保を確実なものとするために他大学の健康管理部門、研究者等への提案を開始している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初(研究費獲得前)より、トライアル運営委員会を構成しミーティングを月1回定期的に開催すると共に、研究事務局、臨床管理チーム、広告チームを構成し、本研究の着実な遂行が可能な体制を整えた。 本研究のコアコンテンツとなる、5つのコンポーネントを組み合わせることが可能なiCBTを開発した。当初計画通りにパイロットフェーズを実施し、対象となった55名全員が2019年1月までにiCBTを用いたレッスン期間を完了した。割付けられた全レッスンのワークシート記入完遂者は55名中46名(84%)であった。パイロットフェーズの結果を踏まえ、アプリケーション及び試験デザインの修正を行うことが出来た。 本研究の成否は本試験における1000名を超える大規模なリクルーティングに大きく依存するため、大規模なリクルーティング向けて試験参加を呼びかけるちらし、動画広告コンテンツの作成を行うとともに、健康診断、大学生協等を通じた周知体制の構築を進めた。2019年4月に法令に基づいて実施される全学生を対象とした健康診断の場において、8000部を超えるちらしを配付し、本試験へのリクルーティングを行った。更に、研究参加者確保を確実なものとするために他大学の健康管理部門、研究者等への提案を開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に作成した試験参加を呼びかけるちらし、動画広告コンテンツをフルに活用して本試験のリクルーティングを進める。大規模試験の質を維持すると共に事務作業を効率化するため、パイロット試験の結果を踏まえ、参加登録時の問診内容からリスクを自動的に層化するプロトコールの修正、およびこれに対応するシステム改修も行う。初年度に構築した健康診断、大学生協等を通じた周知体制のもとで多くの学生に試験参加を呼びかける。2019年4月に法令に基づいて実施される全学生を対象とした健康診断の場において、ちらしを配付し、本試験へのリクルーティングを進める(8000部を超えるちらしを配付スミ)。 更に、研究参加者確保を確実なものとするため、京都大学での試験実施でノウハウを蓄積すると共に、2020年度以降の他大学での本試験実施に向けて交渉を進める。
|
Causes of Carryover |
初年度は計画通り研究を遂行しており、研究2年目となる2019年度は本試験のリクルーティングを進める。最終的に1000名を超える試験参加者を獲得するためには、その数倍の学生に一次問診に参加していただく必要があり、事務局体制を強化し大規模なリクルーティング活動を継続する。そのため、研究事務補佐員に対する人件費、研究参加者への謝金に予算の多くを使用する予定である。
|