2020 Fiscal Year Research-status Report
Correlation between English Ability Improvement and Education Programme: Statistical Analysis based on Large Scale Data
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18K18652
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西谷 元 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (80208181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 慎治 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (00346529)
川田 恵介 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40622345)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 英語運用能力 / 外国語教育 / 動機付け / グローバルコンピテンシー / 効果測定 / 統計的因果推論 / 差分分析法 / BEVI |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人学生の語学力は、他の先進諸国またアジア諸国と比べても低い水準に留まり、日本人学生の英語力向上の必要性、また大学における英語教育の改革の必要性は、喫緊の課題となっている。また、経済・社会のグローバル化が進展するなかで、産業界からもこの問題について様々な提言(経済同友会2013、グローバル人材育成推進会議2012)が行われている。 他方、個々の教育プログラムではなく、大学全体における英語教育プログラムを対象として、その効果を横断網羅的また統計的・定量的な評価を行った分析は皆無である。本研究においては、大学が有する全学部学生約1万人の大規模データを複数年にわたり利用し(計約10万件)、各学部学科ごとの変化パターンまた、教育プログラムによる英語力向上に効果を横断網羅的また統計的・定量的な評価を行った。 その結果、各学部学科ごとに、毎年ほぼ同様の傾向、しかし各学部学科ごとに非常に異なる変化が継続的に出現することが明らかになった。同時に、4年間を通じて英語学習を行うための動機づけを行うための成績管理システムの導入、各種教育プログラムの導入、単位認定規則などの制度改革後、従前のパターンに変化が生じ、全学全体では直近4年間でTOEIC730以上の取得者数が3倍に増加したことも明らかになった。 このような介入前のデータをコントロール群として用い、いかなる介入がTOEICスコアに与えた影響について、因果効果の推定を行った。 さらに、国際的プログラムによるグローバルコンピテンシー変化を、心理学モデルに基づいた客観的テストBEVIを用い測定し、この指標と英語力向上との因果関係をも分析対象とすることで、教育プログラムが学生の内面に与える影響をも含めた、効果分析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していた以上の数・質のパネルデータを収集するとともに、その分析・比較を実施することができた。またその結果を本年度2件の国内学会及び2件の国外学会での発表することができた(今年度まで通算で2件の論文、8件の学会発表(内5件の国際学会))。 広島大学の全1年生及び3年生のTOEICパネルデータを用いた分析を行った。また個人属性による差異を明らかにするため、全学成績システムより個人属性(GPA、受講科目、教員属性、留学経験等約20項目)を抽出し、これらを用いた分析を開始した。加えて本年度からは全受講科目の成績スコアも利用した分析が可能となった。 さらに、本補助金申請をした段階では計画をしていなかった、語学力・留学への意識を含むグローバルコンピテンシーについての各学生の心理的変数についても、心理学 モデルに基づいた客観的測定テストを全一年生を対象として実施し、全一年生の約6割にあたる1500人のデータを収集し、これらを用い分析を開始した。この指標も用いることで、教育プログラムが学生の内面に与える影響も含めた、包摂的な分析が可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、これまで用いてきたTOEICがCOVID禍により、全テストがオンライン上のテストとなった。同テストではあるが、異なるメディアを利用ししたため、その差異を分析する。 2021年度は引き続き、全学部生を対象として、英語運用能力に関するデータ収集を続けるとともに、コントロール群としてより幅広い教育プログラムにおいて多様なデータを収集する。グローバルコンピテンシーについての各学生の心理的変数を、BEVIテストを用いて、1年生を対象に実施し、データを収集する。同時に、COIL/VE/留学プログラム参加者にこのテストを実施し、比較が可能なデータを収集する。データが大量となってきて いるため、共同ワークショップを複数回開催し、テスト結果とともに実施のための知見を共有する。 大学の成績システムでは収集ができない個人属性(両親の教育程度、過去の海外留学経験、収入等)についても、BEVIテストを利用して収集し、これらのデータをも利用した分析を行う。
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Causes of Carryover |
COVID禍により、予定されていた留学プログラムが全て中止となり、当該データの収集・分析のための経費が未使用となった。 2021年度前半も留学プログラムが中止となる予定であるが、昨年度より開始した、オンラインで行う、Collaborative Online International Learning, Virtual Exchangesによる効果の測定・分析も合わせて行う。また今年度後半には研究会等での出張を実施する。
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Research Products
(7 results)