2019 Fiscal Year Research-status Report
Present state analysis for deriving conditions for effective school evaluation
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18K18683
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
橋本 昭彦 国立教育政策研究所, 教育政策・評価研究部, 総括研究官 (80189480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 佐知子 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (50186722)
池田 満 南山大学, 人文学部, 准教授 (90596389)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 学校評価 / 国際比較 / 実効性 / 評価的思考 / evaluative thinking |
Outline of Annual Research Achievements |
1)前年度に取り組んでいた、学校評価の<実効性>の実態についての質問紙・面接の調査の在り方に、根本的な変更を加えた。すなわち「学校評価」の語を前面に出さない;又は大幅に相対化すべきだと考えるに至った。理由は、「学校評価」という語を無限定に使う時点で、すでに中央教育行政が求めているpolitically correctな忖度に満ちた回答を強要するがごとき <結論が見えている調査>になることを、取材や文献調査等から突き止めたためである。 2)「学校評価の実効性の有無」の代わりに「評価的思考(evaluative thinking)の浸透度」の概念を用いる。これは北米の研究者を中心に2010年ごろから盛んに用いられるようになった考え方で、学校評価という制度の有無やその制度が生む利害関係から自由になって、学校における評価的な動きの実効性を調査することを可能にする。 3)前年度に作業途中であった「ワークシート」「カード」に書かれた現場教員等からの情報や意見のパソコン入力は継続し、作業の目的を「学校評価の実効性の有無を見る」ことから、「評価的思考の浸透度を見る」ことに変更した。 4)ウェブ調査の「好事例」探索も同様に趣旨を変更して継続した。 5)国際学会では、東京で8月に開催された世界教育学会WERA2019において、シンポジウムEfforts to embed evaluative thinking in schools and educational systems around the worldを実施し、報告者の日本、カナダ、グリーンランドのほか、参加していた中、台、香、韓、英の研究者等との意見交換を行い、情報収集の手がかりを得た。国内学会では、高知で12月に開かれた日本評価学会の分科会(小澤伊久美座長「学校評価士は学校運営における評価的思考の利用をいかに支援できるか」)に参画した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度実施する予定だった質問紙調査が、核心的な問いを「学校評価の実効性の有無を見る」ことから「評価的思考の浸透度を見る」ことへと変更する過程で苦闘していたために、手つかずに終わって居る。 核心的な問いの変更を決断することは容易ではなかったが、前年度に「評価的思考」という概念の重要性に改めて気付いて、それを国際的な議論の中で確かめる必要があったので、不可避の作業ではあった。(日本ではこのような発想の転換を公表している研究者は、学校評価関連ではまだ少ないと思われることもあって、国内だけでこの議論を進めることが代表者の人脈では出来なかった。)次年度に向けての有益な進歩の年だったが、遅れは相当あることは認めなくてはならない。
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Strategy for Future Research Activity |
年度末から新型コロナウィルス感染防止の必要から、出張や打合せが停止・停滞しているが、ウェブ調査・文献調査ベースで仕事を進め、核心的な問いを「学校評価の実効性の有無を見る」ことから「評価的思考の浸透度を見る」ことへと変更するための先行研究の調査に重点を置きつつ、好事例調査なども追々推進したい。 10月にアメリカのオレゴン州ポートランドで開催されるアメリカ評価学会(AEA)における個人発表Educational Survey Results and Evidence-informed Policymaking in Japanese Local Governmentsと、学校評価のロジックモデルに関する共同発表にエントリーしているので、発表権を得ることができれば、アメリカの学校におけるevaluative thinkingの浸透状況に関する実地調査を組み合わせつつ、自論の強化を図りたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、①前年度に記載した豪雨災害に絡む私的事情の影響が長引き、海外出張を控える必要が生じて、予定していた国際学会への参加が東京開催の1件に止まり、アメリカ評価学会への参加が出来なかったので、外国出張旅費を使わなかったため、②東京で開催された国際教育学会に米国からのコメンテーターを依頼するはずであったが不参加となり、外国研究者の招へい費を一部使わなかったため、③事務量が減ったので研究補助者の勤務日数を年度途中で半減させたことによって、補助者の謝金の一部を使わなかったため、である。 2020年度においては、新型コロナウィルス感染症対応の影響が軽減されて10月までに外国出張ができる状況になるという前提で、既に発表応募をしているアメリカ評価学会(AEA)に加えてオーストラリア評価学会に参加するほか、作業の遅れを回復するために研究補助者を増員する必要があることから、次年度使用額相当の支出を計画する。
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Research Products
(3 results)