2022 Fiscal Year Research-status Report
Present state analysis for deriving conditions for effective school evaluation
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18K18683
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
橋本 昭彦 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (80189480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 佐知子 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (50186722)
池田 満 南山大学, 人文学部, 准教授 (90596389)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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Keywords | 学校評価 / 国際比較 / 実効性 / 評価的思考 / evaluative thinking |
Outline of Annual Research Achievements |
1)昨年度は、協力研究者、国内外の学校関係者からの意見聴取を進めるとともに、学校における評価的なニーズについて、校長先生たちの意識を調べるアンケート調査を企画・実施した。アンケートは、全国の300余の小中学校校長等に回答を依頼し、115件の回答を得て、その調査の実施経過と結果の概要(速報)を日本評価学会の大会発表において紹介した。 2)今年度は、まずそのアンケート結果の分析を進めた。アンケートの分析から得られた主な知見は、以下の通りである。すなわち、①学校評価が学校改善の役に立つかという点では、回答した校長の過半数が肯定的であり、文科省の調査の回答と同じ傾向を示した。②学校評価を役立つものだと表明するが、本来評価に必要と思われる評価計画や情報収集についての関心は必ずしも深くない。③学校評価の情報源を児童生徒・保護者への定例のアンケート主体に考える傾向がみられるが、それ以外の情報収集と学校評価を結びつける発想に乏しい。④総じて、校長が思い描く学校評価像には、プログラム評価的な要素は少なく、学校の計画や取組について事実特定や価値判断をなすと言う評価の形ではない。⑤言説のうえでは「学力向上」「学習状況の改善」「学校経営の改善」に学校評価を活用しようという校長も少なくないが、大きな流れは<アンケートの意見に対して対応ができる>という意義を学校評価に見出しているようにみえる。 3)上記調査と併行して比較考察のために、共同研究者らとともに、学校評価の在り方に関する国際比較研究のセミナーを開催した。学校評価とコンサルティングの結合を図る韓国や、地域での教育熟議の実践のあるラオスの事例との対照によって、日本における学校評価制度や学校による支援ニーズの特徴が浮き彫りになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画における諸段階(先行研究の整理、学校評価制度の現状の理解、ウェブ調査による学校評価制度運用の実態、校長調査による学校評価支援ニーズの調査、国際比較)などは順調に進行し、各段階での学会報告を経た成果の確認も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究による成果の現状は、限られた量・視点からのデータに基づくもので、まだ確度が高くない。すなわち「仮説」が確立できた段階である。今後は、この仮説を裏付ける資料の補充調査の実施や、評価学及び学校経営の立場からのレビューによって、本研究における調査や分析の結果・成果の妥当性や活用可能性を高めたい。
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Causes of Carryover |
準公開で開催した「セミナー」は韓国からの参加者(福岡市に留学中)に東京に来て頂く計画であったが、オンライン開催としたために交通費や謝金などが不要となった。他方で、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、研究上のアドバイスを得るために新潟県・愛知県・奈良県から東京に来て頂く面接が実現できなかったので、使わなかった交通費と謝金を次年度活用したい。
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