2022 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring psychological and neural mechanisms of visual consciousness
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18K18690
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
坪見 博之 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (70447986)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 実験心理学 / 感覚記憶 / 意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの視覚は、注意と記憶の二つの段階で、一度に処理できる容量が極めて少数に限られる。それにも関わらず、「目の前のすべてが見える」と主観的に感じるのはなぜだろうか。主観的に見えている感覚の特徴は、物体が目の前にある時はすべてが見え、物体が消えると速やかに見えなくなったと感じることにある。この特徴は、感覚記憶(Sperling, 1960, Psychol Monogr)が対応すると考えられる。そこで本研究では全体の計画として、感覚記憶について、(1)心理学実験による心的メカニズムの検討と、(2)脳波実験による神経科学的メカニズムの検討を進めた。 (1)の心的メカニズムについては、過年度の研究において、Sperling(1960)と同じパラダイムを用いて実験したところ、感覚記憶は従来0.5秒と想定されてきたよりも長い間、少なくとも2秒程度持続することを新たに見出した。これは、Sperling(1960)の研究において見逃されていた実験・解析法に注目した結果である。また、この結果は、古典的な統計法(頻度統計)によって推測しても、ベイズ統計によって再解析をして推定しても同じだった。 今年度は、これまでに行った心理学実験の結果を元に脳波実験を進め、感覚記憶の神経科学的メカニズムを検討する予定とした。しかしコロナ渦において実験を十分に実施することはできなかった。そのため、類似のパラダイムを用いて過去に取得した脳波データに対して、心理学実験で得られた感覚記憶のタイムコースを当てはめて解析を試みた。計画当初は、感覚記憶の減衰は周波数分析によるThetaの活動値が上手くトラックするだろうと予想していたが、結果を確証することはできなかった。ただし、用いた脳波データが今回の目的に最適化されていなかったことも原因として考えられるため、今後のさらなる検討が必要だと思われる。
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Research Products
(1 results)