2018 Fiscal Year Research-status Report
エピソード記憶の特性と機能に関する複合的アプローチ:ノスタルジア・心理的幸福感
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18K18692
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川口 潤 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (70152931)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | エピソード記憶 / なつかしさ / ノスタルジア / 幸福感 / 時間割引 / 自伝的記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,エピソード記憶がもっている,過去の記憶を再体験するかのごとく想起する機能を,ノスタルジア感情というヒト特有と予想される感情機能との関連から,実験的手法によって明らかにしようとするものである. エピソード記憶はメンタルタイムトラベル(mental time travel)という用語に代表されるように,過去を再体験するかのごとく思い出すという想起意識(autonoetic conscioiusness)が重要であるが,なつかしさ(ノスタルジア)を強く有した場合に特にこの再体験感という特徴があらわれやすいと考えられる。 第1に,なつかしい記憶を想起することによる幸福感の向上について,検討した。これまで参加者になつかしい出来事(なつかしいエピソード記憶)を7日間継続して想起し筆記する課題を実施することによって,幸福感の向上がみられたが,より簡便な方法を検討するために3日間連続した場合の検討を行った。ただ,想起群・統制群のの初期値の違いが大きかったため,さらにデータの分析を続けているところである。 第2に,なつかしい記憶想起による時間割引課題への影響を検討した。時間割引課題は未来の報酬と現在の報酬を比較する課題であり,詳細なエピソード記憶想起と関連することが最近報告されている。これまでの我々の研究において,詳細な記憶想起をともなうなつかしい記憶想起を行ったところ,時間割引率が低下するデータを得たが,その追試実験を実施した。その結果,なつかしい個人的出来事の想起によって,時間割引率が低下する結果を確認することができた。すなわち,なつかしい記憶想起によって報酬を待てることが明らかとなった。その背景メカニズムについて検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
なつかしい記憶の想起が,幸福感に与える可能性を見いだしたとともに,時間割引課題の影響を再確認することができた。さらに確認実験および論文化を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでなつかしい記憶想起の影響を見いだしてきているが,それらの確認を続ける。また,基礎的側面として,なぜそのような影響が見られるのかに関する心理メカニズムを,エピソード記憶研究の最近の知見と照らして明らかにしていく。応用的側面として,なつかしい記憶想起の心理的健康増進を視野に入れた検討を目指す。
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Causes of Carryover |
なつかしい記憶想起喚起がさまざまな心理的判断に与える影響について,次年度も継続して追加実験も検討しているため,その費用として用いる予定である。
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Research Products
(8 results)