2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K18696
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
村山 航 高知工科大学, 総合研究所, 客員教授 (10748726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
繁桝 博昭 高知工科大学, 情報学群, 准教授 (90447855)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | メタ動機づけ / 興味 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,人が外的な報酬がないような状態において,自分の内発的動機付けを正確に予測できるかどうかを検討した。申請者が近年提唱した内発的動機付けのモデルに基づくと,人は基本的に,自分の内発的動機付けを過小評価するはずである。この仮説を検討するため,被験者に課題を実施してもらう前に,課題終了後の動機づけ状態を予測してもらう「動機づけ予測パラダイム」を開発し,予測された動機づけと実際の動機づけがどのように違ってくるかを検討した。
さまざまな課題を用いて,いくつもの行動実験を行った結果,人は一貫して,自分の内発的動機付けを過小予測することが明らかになった。つまり,人はそれらの課題を持続的に楽しめないと予測するが,思っていたよりも持続的に楽しめることが明らかになった。またさらに,同じ課題に課題遂行成績に随伴する外的報酬を与えると,人は逆に外的報酬の効果を過大評価することも示された。つまり,人はこれらの課題に報酬が与えられると持続的に楽しめると予測するが,実際には思ったほど楽しめないことが示された。これは,内発的動機付けと外発的動機付けに関するメタ動機づけのコントラストを示すものであり,これまでにない新しい知見である。こうした結果は,自己報告の動機づけでなく,行動指標で動機づけを測定した場合にも一貫した結果が得られた。
以上の結果をもとに,メタ動機づけという新たな概念の重要性に関するレビュー論文を海外の共同研究者と共同執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタ動機づけに関する予備的ともいえるデータを予定通り収集することができかつ,ある程度理論的な仮説に合致する結果が得られたということで,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,ふたたび内発的な動機づけに焦点をあて,このような過小評価が生じるメカニズムを明らかにするための実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は本プロジェクトの概要を示すレビュー論文を出版することに焦点を置くことにしたため,当初の予定よりも行動実験を多く行う必要がなくなり,予定よりも出費が少なくなった。次年度は今年度に予定していた実験を含めて多くの実験を行う予定であり,今年使わなかった分の助成金も使用する予定である。
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