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2019 Fiscal Year Research-status Report

視覚情報による人違い現象の解明:人違いの心理学の創生に向けて

Research Project

Project/Area Number 18K18699
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

伊東 裕司  慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (70151545)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 三浦 大志  杏林大学, 保健学部, 講師 (80726084)
Project Period (FY) 2018-06-29 – 2021-03-31
Keywords人物誤同定 / 認知的失敗 / 人違い / 既知人物 / フィールド実験
Outline of Annual Research Achievements

本年度は主に、昨年度実施したフィールド実験のデータの分析と、新たなフィールド実験を行った。昨年度の実験では、何度か見たことがある程度の知人と待ち合わせをした状況で、顔貌あるいは服装が似ている人物を見かけた場合、人違いは生じやすく、顔の類似性と服装の類似性の効果に大きな相違はないことが示唆されているが、本年度はこの実験の質問紙データ、行動観察のビデオデータの整理を行い、詳細な分析を行う準備を完了した。
また新たなフィールド実験として、昨年度の実験を拡張、改善した、待ち合わせ状況を設定した実験を行なった。大学生の被験者130 名は、受講する授業のゲストスピーカーの男性(以下、ターゲット)から心理実験への参加を依頼され、後日所定の場所で待ち合わせた。当日待ち合わせ場所では、体型、顔がターゲットと似ている人物A、あるいは体型は類似しているが顔は似ていない人物B のいずれかが、講演時と同じスーツを着て、あるいはカジュアルなシャツとパンツを着て待っていた。被験者が到着後、被験者を実験室に誘導し、質問紙への回答を求め、個人特性を測定する課題を課した。
結果は現在分析中であるが、待ち合わせ人物をターゲットだと思った被験者は、人物A のスーツ条件で70%、カジュアル条件で67%、人物B のスーツ条件で31%、カジュアル条件で16%であった。限定された条件下ではあるが、顔、髪型、体型が似ていれば服装に関わらず高い頻度で人違いが生起すること、髪型、体型が似ていても顔が似ていないと人違い生起の率は大幅に下がること、この場合には服装が人物同定の手がかりとして利用されていることが明らかになった。
日誌法とオンラインインタビューを併用した調査研究に関しては、システムの作成、協力者の確保に時間がかかり、実査には至らなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

調査研究に関しては実施までに時間がかかり、予定より遅れているが、フィールド実験が大きく進展したため、研究の進行の順序は当初計画と違っているが、全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。日誌法とオンラインインタビューを併用した調査研究は、人違い現象自体が、人と人とが出会い交流する状況の中で生起するものであり、調査対象者が人との接触を大幅に控えている状況では人違いが生じにくいため、適切な状況が整い次第実査ができるよう準備をしておく予定である。

Strategy for Future Research Activity

待ち合わせ状況を設定したフィールド実験に関しては、これまでに二つの実験を行い、すでにデータを収集し終えており、データの整理、分析の下準備についてもほぼ完了している。現在、本格的なデータの分析を開始しており、年度の前半で分析、考察を完了し、取りまとめを行う。
PCモニター上に人物の画像を提示して行う実験室実験に関しては、一つ、あるいは二つの新たな実験を行う予定である。実施の準備はほぼできているが、新型コロナヴィールスの影響でキャンパスの閉鎖などのため現在実施ができず、オンラインで遠隔でデータを収集する可能性についても検討したい。日常生活の中での人違いを捉える日誌法、オンラインインタビューによる調査に関しては、日常生活において人との接触を極力減らさなければならない現状では、適切なデータを得ることが不可能である。状況が整い次第調査ができるよう、オンラインでインタビューを行うシステムの作成、運用のテストなどを含む準備を行うが、適切な調査ができるかどうかは予断を許さない状況である。
いずれにせよ、得られた成果をまとめ、人違い現象の記述、条件の分析、メカニズムの検討にわたる取りまとめを行い、シンポジウムをオンラインで開催する予定である。このシンポジウムでは、プロジェクトメンバー以外の研究者に、人物同定以外での類似の現象との関連を論じていただき、人違いの心理学の認知研究全般における位置付けを明確にすることを目指す。また、論文執筆などを通して、人違い研究が心理学の研究領域として広く心理学研究者に認知されるよう活動を行う。
なお、当面のプロジェクトメンバーでの研究打ち合わせは、オンラインで行う。

Causes of Carryover

本計画における実証的研究は、実験室実験、フィールド実験、日誌法とオンラインインタビューを併用した調査の3つに分かれるが、当初の計画では、3つ目の調査研究は期間の前半で実施する予定であった。しかし、オンラインインタビューのシステムの構築、および調査協力者の確保に時間がかかり、調査の実施が3年目になってしまったため、そのための費用の支出がなかったことが次年度使用額が生じた原因である。調査研究はこれから実施する予定であるため、これまでに支出しなかった調査費用は今後必要になる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)

  • [Presentation] Misidentification of a person as a familiar person: Is a testimony that an eyewitness saw a familiar person reliable?2019

    • Author(s)
      Itoh, Y., Shimane, D., and Miura, H.
    • Organizer
      The thirteenth biennial conference of Society for Applied Research on Memory and Cognition
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 目撃した未知顔への親近感の高さと人違いの生起確率の関係2019

    • Author(s)
      島根大輔・三浦大志・伊東裕司
    • Organizer
      日本心理学会第83回大会
  • [Presentation] Person misidentification is associated with cognitive failures and expectations2019

    • Author(s)
      Miura, H., Shimane, D., and Itoh, Y.
    • Organizer
      Annual Conference of the European Association of Psychology and Law
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2021-01-27  

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