2020 Fiscal Year Research-status Report
視覚情報による人違い現象の解明:人違いの心理学の創生に向けて
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18K18699
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊東 裕司 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (70151545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 大志 杏林大学, 保健学部, 講師 (80726084)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 人物誤同定 / 認知的失敗 / 人違い / 既知人物 / フィールド実験 / 日誌法 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活する中で見かけた人物を、その人物ではない既知人物として同定してしまう「人違い」について、その生起の実態とメカニズムを明らかにしようとする研究計画であるが、2020年度は新型コロナの流行の影響を受け、期待した進展が得られなかった。データ収集の途中であった実験室実験は実験参加者を集めることが困難であまり進まなかった。また以前に収集した日誌法を含む質問紙による調査結果を補う調査を計画していたが、人が外出して不特定多数の人物を見かける機会が前回より大幅に減少したこと、さらに見かける人物のほとんどがマスクを着用している点でも前回の調査と状況が大きく異なってしまったため、前回の調査時と同様に人と人が出会う状況が戻ってくることを期待して計画を先送りすることとした。 一方、前年度に収集した、実験参加者と待ち合わせをする機会を設け、その場に別の人物が出向いて人為的に人違いを生起させることを狙ったフィールド実験のデータの分析は進めることができ、顔貌、体格、服装の類似性が人違いの生起に与える影響についての分析結果を取りまとめている最中である。 日本心理学会大会においてシンポジウムを開催し、漢字認知における誤り、初めて会った人にどこかであったことがあるという印象を持ってしまう人デジャビュ現象、目撃者による知人を見たとする証言の信頼性の問題など、隣接・関連する諸領域の研究者と問題を共有し、現象の共通点や相違点、研究領域間の協働の可能性、将来の研究の方向性などについて議論することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィールスの流行により、実験参加者を集め、直接対面でデータを収集する実験が行いにくくなったことに加え、計画していた調査研究が、対象者が日常生活の中で多くの人物と遭遇する状況を前提としており、さらにコロナ流行前に実施した調査結果と合わせて考察することを予定していたため、実施を先送りせざるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験室実験に関しては、なんとかもう少しのデータを収集したい。一方日常生活における人違いを調べようとする調査研究に関しては、人々がマスクを着用せずに以前と同様に外出し人と出会う状況が戻ってきた場合には予定通りの調査を実施するが、新型コロナの流行が収束しない場合には、マスク着用下での人違い現象について調べる調査に変更して、年度内の早い時期に実施したい。ほとんどの人々がマスクを着用している状況は人為的に作ることは極めて困難であるので、この状況をプラスにできるような方針変更を検討中である。
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Causes of Carryover |
新型コロナの流行により、直接対面で行う実験の実施が遅れたこと、調査研究の実施を先送りにしたことにより、2020年度にはそれらの経費の支出がなかった。実験研究については、多少参加者の人数が少なくなることはあっても、なんとか実施する予定である。調査研究に関しては、2021年度の早い時期に新型コロナが収束した場合には、2020年度に実施予定であったものを実施するが、収束しない場合には、マスク着用下での人違いに関してデータを集めるように質問項目を改変し、実施する予定である。
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Research Products
(3 results)