2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a New Evaluation Method for Auditory Signals in Living Environments Considering Circadian Rhythms
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18K18706
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
片桐 真子 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (50359379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若村 智子 京都大学, 医学研究科, 教授 (40240452)
長島 俊輔 京都大学, 医学研究科, 助教 (80826503) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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Keywords | サイン音 / 気づきやすい音 / オリエンティングレスポンス / 心拍変動 / 概日リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの生活環境には、何らかの情報やメッセージを伝える重要な役割を担う聴覚信号がある。これらはサイン音と呼ばれ、どのような状況下においても、他の音と混同することなく正しく聴取されなければならない。一般的に、サイン音の心理的効果の測定は、予測可能な条件で提示された音のみを評価する方法で検証されることが多い。しかし、生活騒音であふれている環境とはかけ離れた条件の測定であるため、利用者の立場での検証としては十分とはいえない。 本研究は、日常生活を模擬した環境下で音刺激を受けた際の心拍の変化(定位反応:OR)から、無意識下における刺激に対するヒトの反応の違いを客観的に評価する手法を提案した。そしてこれに基づいて気づきやすいサイン音として有効な物理的特性の抽出を試みた。 被験者実験は、概日リズムに配慮した2泊3日の日程で行った。周波数と音色が異なる16個のテスト音を作成し、実験プロトコルに沿ってランダムに提示した。テスト音に対する気づきやすさは、テスト音の提示前後5拍の心拍のRRIから算出したOR値で評価した。この評価手法を用い、テスト音に対する再現性や日内変動を伴う音の存在を見出すことができた。また、OR値の正負から音に対する印象を判断できるため、アナウンス情報の前置信号として、あるいは安全や安心をサポートするための緊急警報として利用可能なサイン音を抽出できた。 日常空間において、予期せぬタイミングで心拍変動に影響を与える音を生理学的に抽出するこの方法は、ヒトが気づく音と気づかない音の境界を探り、サイン音に対する反応を客観的に抽出する試みとして意義がある。さらに、この方法を活用することによって、生活騒音にマスクされることのないサイン音の設計が可能になるため、生活環境の真の改善につながる可能性が示唆された。現在、本研究と関連研究に関する論文を投稿中である。
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