2018 Fiscal Year Research-status Report
Building-up Differential Homotopy Theory
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18K18713
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩瀬 則夫 九州大学, 数理学研究院, 教授 (60213287)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | Diffeology / Differentiable structure / Manifold / Stratified space / CW complex / smooth structure |
Outline of Annual Research Achievements |
一年目は、微分ホモトピー論の構築に向けて始動した。しかしながら微分ホモトピー論の基本となる概念であるDiffeologyとそこに内包される数学的な推進力はいまだ多くのトポロジー研究者には知られていないのが実情であり、本研究の目的の達成の為には、真摯に微分ホモトピー論についての研究成果を積み重ねることと同時に、より多くの研究者に向けたインパクトのある活動を行うこともまた必要であるとの認識を持っており、昨年度末にDiffeology研究の中心人物であるフランスのPatrick Iglesias-Zemmour氏やトルコのSerap Guerer氏を迎えて勉強会兼研究集会を九州大学で開催した。この集会では、若い世代の研究者らの多くの参加を得たこともあり、今後の発展を期待できる出だしとなったと自負している。 実はこれに先だって、微分ホモトピー論の基盤となる性質となるべきde Rham理論に於けるMayer-Vietoris完全列を考察し、元々の微分形式の定義を修正することで得られる新しい完全列の存在を証明することに成功した。ここで、多様体や層状空間などの良い対象に対しては、上記の微分形式の修正によりde Rham cohomologyは何らの変更も受けないことを指摘したい。これにより、例えば多様体や層状空間などの変形として得られた位相空間など既に良い微分構造が失われてしまったと考えられる空間に対してもde Rham理論を適用することが可能となり、さらにこれを用いて造られる結果としての多様体や層状空間などの本来のde Rham理論にこれを引き戻すことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目に得られた手法は、岡山大の島川教授らの研究グループや会津大の木原教授らの成果と共にIglesias-Zemmour氏のDiffeologyに対する解説論文でも紹介されることとなり、ヨーロッパのDiffeology研究者らとの連携が深まった。これにより、本研究のグローバル化の方向性に対して、その一端が見えてきた。その一方で、国内に於いても関東周辺の大学から多くの若い参加者を得ることができ、本研究の進展に向け明るい光を見いだすことが出来たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度では、Diffeologyの研究をさらに深化させるべく、CW複体のループ空間についてもそのde Rham cohomologyの環構造を考察したいと考えている。その一方で、関西周辺での周知が進んでいない実態も明らかとなっており、新年度では関西地区にフォーカスして、次のステージに向けた勉強会を開催することを考えている。また同時にDiffeology理論はK. T. Chenの独創である可微分構造をその始原としており、iterated integralとこれに関連するアイデアをも取り込むべきであると考える。その前提として積極的にK.T.Chenの可微分構造の研究者らとDiffeology研究者らとの相互の研究交流を促すべきであると考えている。
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Causes of Carryover |
使用開始が4月では無かった為、若干の次年度使用額が生じた。
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Research Products
(4 results)