2019 Fiscal Year Research-status Report
応用特異点論の情報科学および工学的デザインにおける展開
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18K18714
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大本 亨 北海道大学, 理学研究院, 教授 (20264400)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 情報幾何 / 応用特異点論 / ヘッセ多様体 / 特異モデル / Line geometry |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は以下の3テーマについて研究を進めた. 【A. 情報幾何への写像の特異点論的アプローチ】双対平坦空間(ヘッセ多様体とも呼ばれる)は,情報幾何学(甘利・長岡理論)において中心的な役割を担っている.一方,現実的な応用では,計量が退化する特異モデルがしばしば現れる.この場合,微分幾何的手法が使えないために双対平坦空間の理論は適用できない.そこでアファイン接続とその双対接続の代替物として,接触幾何におけるフロントの連接接束(佐治・梅原・山田)とそのルジャンドル双対それぞれの平坦接続のペアを用いて「疑ヘッセ多様体」の概念を導入し,その上で拡大ピタゴラス定理や射影定理が自然な形で成立することを示した(大学院生の中島君との共同研究).コントラスト関数の理論とも相性がよく,これは「特異モデルの情報幾何」を強く示唆するものである.さらに局所的にはミラー対称性のmassive F-多様体の実カテゴリー版と関連する. 【B. 直線族の射影微分幾何とその応用】線織面および可展面のモンジュ標準形の射影変換による分類について,加葉田氏(九大IMI)および当該年度に北大に半年ほど来訪・滞在したデオリンド-シルバ氏(サンタカタリーナ州立大)と共に国際共同研究を進めた.当初予想していたことよりも精緻な内容があることが分かり,全面的に計画を変更した. 【C. リー環値写像芽の分類理論とそのトポロジカル物性への応用】研究協力者の泉屋・北大名誉教授によりK(G)-分類の一般論の構築を進め,ヴァレンシア大学(スペイン)での特異点と微分幾何の国際集会などで成果発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学内業務が過度に増加し,さらにコロナウイルス対策などから本課題の研究に費やす時間がかなり圧迫されているが,現時点では共同研究を中心に順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,3つのサブ・テーマを独立に進めていく,最終年度となる本年度では,【A】および【B】における成果を纏めて学術論文として発表する.
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Causes of Carryover |
招聘を予定していた海外研究者が都合のためキャンセルとなったこと,さらにコロナウイルス防疫のために予定していた出張がキャンセルとなったことによる.これらは20年度の旅費として加算する.
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