2020 Fiscal Year Research-status Report
応用特異点論の情報科学および工学的デザインにおける展開
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18K18714
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大本 亨 北海道大学, 理学研究院, 教授 (20264400)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | ルジャンドル特異点論 / 情報幾何学 / 双対平坦構造 / 特異モデル / 機械学習 / リー環 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は以下の3テーマについて研究を進めた. 【A. 特異モデルの情報幾何】情報幾何学(甘利・長岡理論)において,双対平坦空間は最も重要な役割を担っている.これはアフィン微分幾何学におけるヘッセ多様体と同じ概念であるが,とりわけ,統計科学における統計的推論および機械学習などの理論的・幾何学的背景を明示するものである.一方,現実的な応用では,しばしばリーマン計量が退化するため,双対平坦空間の理論は直接には使えない.そこでルジャンドル特異点論を用いて,計量が退化する場合でも標準3次テンソルが存在する疑ヘッセ多様体の理論を構築し,特に甘利・長岡理論による主要な帰結がこの特異モデルでも同じく成立することを示した.これは大学院生の中島君との共同研究として,情報幾何学のトップジャーナルInformation Geometry(Springer)に論文発表し,著名な特異点論国際会議や種々の研究集会にて発表した(すべてオンライン).さらに我々の新しい理論に基づく機械学習アルゴリズムの調整や新しい深層学習アーキテクチャの創出等について検討を始めた. 【B. 直線族の射影微分幾何とその応用】3次元空間内の線織面・可展面の局所射影的分類について,研究協力者の加葉田氏(長崎大)およびデオリンド-シルバ氏(サンタカタリーナ州立大)と共に国際共同研究を進めた. 【C. リー環値写像芽の分類理論】研究協力者の泉屋・北大名誉教授および石川剛郎教授(北大)らが,K(G),A(G)分類の一般論およびフロンタルの接写像理論の構築を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論面ではほぼ想定内の進展であった.一方,コロナウイルスにより国内研究集会や海外国際会議への出席や海外研究者招聘の計画に大幅な変更があったことから予算面で21年度延長の申請を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
アフターコロナを見据えて本課題に関連する研究集会や国際会議の出席を予定しているが,オンライン開催の可能性もまだある.一方で,理論的成果を実装面・応用面により結びつけるべく,近隣の情報科学の専門家やプログラマとの情報交換を進める.
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Causes of Carryover |
COVID-19防疫により最終年度の20年度に計画していた国内外への出張ならびに複数の海外研究者招聘をすべて中止としたために次年度使用額が生じ,21年度への延長および計画の変更を行う.使用計画としては,当初案の出張・招聘計画の一部の遂行し,さらにCOVID-19が好転しなかった場合には,本研究課題の実装面を強化するべく,高性能PCの購入とプログラマ短期雇用などの処方を想定する.
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