2020 Fiscal Year Research-status Report
調和解析的方法による視覚・錯視の研究の機械学習への応用
Project/Area Number |
18K18716
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
新井 仁之 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10175953)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
|
Keywords | 数理視覚科学 / 機械学習 / 錯視 / かざぐるまフレームレット / フレームレット構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず研究実績の概要を述べるために,必要な範囲で公知の事項について簡単に記す.錯視(Visual illusion)は視覚系が起こす錯覚のことで日本語では「目の錯覚」と呼ばれることも多い.しかし実際には多くの錯視は「目」(眼球)よりもむしろ脳に主に起因していることが知られている.現在までにfMRIなどで一部の錯視については,その錯視が視覚皮質のどの領野と関連するのか,ある程度公知の先行研究があり,少しづつわかりつつあるが,しかし一方で,具体的にその領野のニューロンのどのような計算により錯視現象が発生するのかはわかっていないことが多い.これについて研究するために本研究代表者は視知覚の数理モデルを設計してきたが,さらに本研究では機械学習,深層学習との関連を調べるという観点から研究を行っている.研究代表者らによる視知覚の数理モデルにはGMRAあるいはMOGMRAの構造が入っているが,本年度は,これまでの研究をもとに,特にGMRAと機械学習,深層学習,錯視との関連の研究を行った.錯視にはさまざまなタイプのものがあるが,その中でも,本年度もある種の幾何学的錯視,色に関する錯視,浮遊錯視などに焦点をあて,それらについて調べた.また,機械学習のたたみ込み層,プーリング,フィードバックの処理などについて,GMRA,MOGMRA,そして特に研究代表者らによる数理モデルの2Dフィルタ特性の観点から研究を行った.そして機械学習の構成のための研究を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GMRA,MOGMRAとの関連の理論研究に思いのほか複雑な部分と,付加的に新しい可能性の検討をしたい部分が生じ,それらの研究と錯視に関するデータ構築の検討に時間がかかり,やや作業が遅れている.またコロナ禍で研究会等での研究討議を踏まえた計算機実験と錯視に関するデータの作成が困難になったことも理由の一つである.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,6に記したような本研究で焦点をあてているいくつかの錯視を軸に,これまでの研究で得られたことも用いて,機械学習とGMRA,MOGMRAとの関連に関する研究を行い,上記の錯視現象(もし必要になればこれに加えて別の錯視現象)に関する計算機実験を行い,錯視現象に関するデータの検討とデータの作成,及び資料作成なども行う.このような方策で研究を推進する.
|
Causes of Carryover |
GMRA,MOGMRA,数理モデルの2Dフィルタと機械学習との関連の検討など数学的な理論研究に思いのほか複雑な部分と付加的に新しい可能性の検討をしたい部分も生じ,その研究,及び関連する錯視に関するデータ構築の検討に時間がかかった.そのため,理論研究とそれに基づく実際の計算機実験.錯視に関するデータの作成が年度内に終わらなかった.またコロナ禍により研究会等での研究討議が困難になったこともその理由の一つである.次年度には,上記の付加的な新たな可能性の検討も加えつつ,これまでの研究に基づく研究を行い,調和解析(特にかざぐるまフレームレット)に基づく数理視覚科学による理論研究を応用し,錯視・機械学習・画像処理などの関連文献等の検討と研究,具体的な計算機実験,データの作成,データの解析,資料作成などのために予算を使用していく.
|