2022 Fiscal Year Research-status Report
調和解析的方法による視覚・錯視の研究の機械学習への応用
Project/Area Number |
18K18716
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
新井 仁之 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10175953)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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Keywords | 調和解析 / 機械学習 / 視覚 / かざぐるまフレームレット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,離散的な調和解析の手法を用いた人の視覚の研究,およびその視覚が起こす錯覚,すなわち錯視の研究と,機械学習,特にたたみ込みニューラルネットワークによる深層学習を組み合わせるという方向のものである。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い生じた支障を克服するために,今回の研究では,研究期間を延長して,すでにいくつかの錯視研究で成功している研究代表者による視知覚の数理モデリングの考え方を活かして,その数理モデルを大幅に組み込んだたたみ込みニューラルネットワークを作成するアイデアを得たので,それを実現するためのたたみ込みニューラルネットワークの構築を行った。具体的には研究代表者らが考案したかざぐるまフレームレット(これは研究代表者らが考案したFIRフィルタバンクから構成される2次元タイト・フレームレットの一つで,特に視知覚の研究に適したものとなっている)をたたみ込みニューラルネットワークに新しい方法で組み込むものである。研究を進めていくうちに,これには二つのタイプが考えられることが判明した。その一つはそのプログラミングまで行った。もう一つについても大まかな設計を行うところまで行きついた。錯視画像生成のための学習データの作成も行った。さらに,対応して,V4野の一部の機能に基づくニューラルネットワークの作成の基盤となる研究も行った。これらは本研究の本来の目的を更により良く遂行することにもつながるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大に起因して生じた支障を克服するために,かざぐるまフレームレットを新たな方法でたたみ込みニューラルネットワークに組み込む作業をしてきたが,その過程で困難が生じた。具体的には二つのタイプのニューラルネットができ,それによって結果が異なることがあり得ると考えられ,それに対応した研究を行う必要が生じ,その分研究作業がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の拡大が終息せず,引き続き対応策を続ける必要がある。そのためかざぐるまフレームレットを導入したたたみ込みニューラルネットワークの二つのタイプのうち,一つを運用していくと同時に,もう一つを完成させ,それを使うことにより本研究を完成させる。ただし,これは視覚・錯視の研究にも応用がある可能性も含んでいるので,本研究を一層充実したものにするため,その研究も併せて行っていく。どの次数のかざぐるまフレームレットを利用するのがよいのかも検証する。それに必要なため,データセットも引き続き補充していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の拡大の影響が続いているため,研究計画を変更した研究を進める必要がある。それを実現するためにはさらなる検討事項が発生した。具体的には,ニューラルネットワークの設計に改良を加える必要性が生じ,学習と検証のための学習データの整備も必要になった。このように新型コロナウイルス感染症の影響が続いているため,この方向での研究を進める必要があり,次年度は,「研究実績の概要」に記したもう一つのタイプのニューラルネットワークも構築し,これらを用いて,研究作業を行っていく予定である。また萌芽研究の最終的成果及びその後の発展の可能性をまとめるための資料も作成する。これらの作業のために予算を使用していく。
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