2022 Fiscal Year Annual Research Report
Application of the theory of SDE to real-time analysis of high-frequency data
Project/Area Number |
18K18718
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
二宮 祥一 東京工業大学, 理学院, 教授 (70313377)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 確率論 / 数理ファイナンス / 確率微分方程式 / 確率数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的(1-4)のうち(1)(3)(4)についての成果を得た。(2)に関してはコロナ禍における金融機関の機微データへのアクセスの問題と市場環境の変化の二つの理由により十分に検証できなかったが、その一部については数値シミュレーションで代替し理論結果を確認することはできた。目的(1)(2)(3)に関しては次の様な理論的成果を得た。[1]反復確率積分から生成される自由リー環の高次の基底の期待値が消えない場合を、確率積分の一般化である前進積分によって理論的に扱うことが可能である。通常の確率積分の範囲では反復確率積分の期待値は消滅してしまうが前進積分ならば必ずしもそのようにならない。二次の基底の期待値が消えない場合は、現実の市場において不均質な情報伝達が生じている場合と解釈することが可能であり、市場のモデルとして意味のある一般化となる。[2]上記の二次の場合についての計算およびその市場における解釈。上記[2]の解釈を実際に数値シミュレーションで確認した。 本研究の過程で二つの新しい研究テーマ(A)、(B)を得た。(A)反復確率積分の係数となる離散確率変数の構成とその台の削減が現実の数理ファイナンスにあらわれる数値計算に対して有効となる。この結果は理論的および実務的意義があることを実証した。これをテーマとして2021年度より科研費の補助を受けた新しいプロジェクトを開始することになった。(B)反復確率積分の係数となる確率変数によって確率微分方程式を指定することは確率微分方程式の別の記述方法を与えているが、これは所謂深層学習によって確率微分方程式を得る方法を与えている。この原理に基づき、現在、金融市場におけるヘッジ戦略を学習する深層学習機械の理論を作成しているところである。
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