2018 Fiscal Year Research-status Report
Mathematical Reliability of Parallel Computations with Indefinite-order Operations
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18K18719
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 宏志 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (00362583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 仁 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (90359836)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 数値解析 / 並列計算 / 信頼性 / ハイパフォーマンスコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,並列計算における実行時の動的最適化などに起因して計算結果が変化するようなプロセスに対して「正しい」ことの意味付けを考察するものである.特に研究期間内には,連立一次方程式に対する定常反復法を対象とする. 研究初年度は,並列計算過程のモデルを構築するための事例研究,数理モデルの確立と解析をおこなった. まず事例研究については,藤原(代表者)は光伝播に現れる微分積分方程式の離散化で得られる連立一次方程式を,吉川(分担者)は音響問題に表れる積分方程式に離散化方程式に対して,種々の並列数値計算をおこない,事例を積み重ねた. 次にそれらを参考にして,基本的な定常反復法であり逐次計算が前提とされているGauss-Seidel法を取り上げて,並列計算過程を記述する数理モデルを構成し,限られた場合ではあるがその収束性を示した.連立一次方程式の定常反復解法としてはJacobi法,Gauss-Seidel法が知られているが,Gauss-Seidel法は利用するメモリが少なく,Jacobi法よりも収束が速いことが多い.一方,そのアルゴリズムや収束解析は,逐次計算を前提として論じられる.そのため,逐次実行を前提として実装した計算機プログラムを並列計算機で実行しても収束するとは限らず,実行毎に収束・発散の双方がみられる場合が起こりうることが経験的に知られている.これに対し,構築した数理モデルをもちい,並列計算下でも収束性を保証する十分条件を与えた.さらに逐次計算では収束するものの並列計算では発散する例 (反例) の構築もおこなった.これは,逐次計算で収束するプログラムを並列実行した場合,無条件では収束を保証できないことを示しており,収束するための良い十分条件の探求が課題のひとつであることを示唆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的は並列数値実験(事例研究)によって並列計算で起こりうる状況を確認し,数理モデルの構築の基礎資料とするものである.迅速な研究の開始のため,代表者・分担者がそれぞれ従来からもちいてきた光伝播解析の計算機プログラム,音場解析のための計算機プログラムの並列計算をおこない,典型的な場合の数値実験(事例研究)をおこなうことで,計画通りに事例研究を積み重ねることができた.そこでは,クラスタに代表される分散メモリ並列計算,マルチコアシステムに代表される共有メモリ並列計算,それらを同時に利用するハイブリッド並列計算,さらに近年一般的となった画像描画用プロセサGPUによる並列計算など,多種の実装をもちいて十分な事例研究を積み重ねてきた.そこでは,本研究経費により購入したマルチコアCPU搭載計算機,ならびに最先端のGPUを十分に活用することができた.また,これらの計算結果については,内外の研究集会において一部を報告するに至った.また代表者は,この最先端の結果から典型的な場合を抽出し,学内の講義でも紹介して,講義で習得するGauss-Seidel法と,研究の現場で使われる並列計算の違いを指摘するなど,研究成果と意義の普及にも努めた.さらにこれらの事例研究の結果にもとづき,本研究の二年目の内容として考えていた「並列計算過程の数理モデルの構築」を開始することもできた.これらを総合的に判断し,「おおむね順調に進展している」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度におこなえなかった,CPUとGPUを同時にもちいるハイブリッド並列計算を実装し,その状態においても初年度に構築した並列計算過程を記述する数理モデルの有用性を調べる.また並列計算の現状を調べ,将来的にどのような処理装置が現れ,どのような並列計算のフレームワークを示すべきかを考察し,次の研究への足掛かりを検討する. 現在までのところ,CPUでの並列計算にはOpenMPを,GPUでの計算にはGPUプロセサ・ベンダの提供するCUDAライブラリをもちいて迅速な研究開始に至ったが,それぞれの計算環境は他の並列計算資源を扱うことができず,CPUとGPUを同時に効率よく利用する並列計算プログラムの実装には,より低レベルの言語,例えばプログラミング言語C++などで記述する必要があると考えられる.そこで,それらの実装例を参考にしながら微分方程式や積分方程式などの並列計算環境を実現する.これが難しい場合には,最新の並列計算のフレームワークであるOpenCLをもちいることで汎用かつ抽象的なプログラミング技術を習得し,連立一次方程式の解法を実装することも視野にいれる.その上で数値実験をおこない,構築した数理モデルの妥当性を検討する.また,各種の研究会に参加して,並列計算のハードウエア・利用の現状について情報を収集し,研究分担者の吉川氏,協力者の Douglas氏と討論を重ねながら次世代の並列計算をも包含しうるような数理モデルを考察し,基盤的な研究への展開を検討する.
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Causes of Carryover |
海外の研究協力者である C.Douglas氏との研究討論のために米国を訪問する予定であった.しかしながら,氏が8月に別の機会に来日され,申請者が参加する研究会と同じ研究会に参加され,その機会に研究討論をおこなうことができ,訪米を見合わせた.該当する研究費は2年目に旅費として利用し,研究促進につなげる計画である.
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Research Products
(12 results)