2019 Fiscal Year Annual Research Report
Spin Seebeck effect of quantum spin liquid states
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18K18730
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下澤 雅明 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40736162)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 量子常磁性状態 / 量子常誘電状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、① H-EDTで実現が期待されている「π電子のスピン自由度」と「水素結合上のプロトン自由度」が結合した新しい量子液体状態を理解するために、3つの置換体(② H-ST、③ H-EDT-d4、④ H-EDSe)の熱伝導率測定を行った。本研究で着目した熱伝導率(κ)測定は輸送測定であるので、遍歴スピン励起とプロトンの量子揺らぎに極めて敏感という特徴を持っているので、本系の研究には適している。 我々の極低温までの熱伝導率測定の結果、上記の3つの置換体全てにおいて、従来の物質 ① H-EDTと同様の温度依存性を示すことが分かった。具体的には、プロトン揺らぎの存在する高温では、κ/Tが抑えられているが、1 ~ 3 K以下になるとκ/Tの急激な増大が見られた。これは、プロトンの量子揺らぎのエネルギースケールが、従来の① H-EDTと同程度であることを示唆しており、これまでに行った誘電率測定の結果ともおおよそ一致している。一方、絶対零度に向けて外挿したκ/T(残留項)は、わずかではあるが有限の値を示していることが分かった。有限の残留値が存在するということは、ギャップレスのスピン励起が存在していることを意味しており、これまでの磁気トルク測定の結果と一致している。このようなギャップレスの量子スピン液体が元素置換による影響を受けずに安定し続けるのは、従来の量子スピン液体の枠組みでは説明できない。これまでに我々が行ってきた誘電率測定・磁気トルク測定の結果を総括的に考えると、プロトンの量子揺らぎが新しい量子スピン液体の実現に重要な役割を果たしていると結論できる。これらの内容に関して、再現性などを確認した上で、近日中に論文として投稿する予定である。
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[Journal Article] Thermal-transport studies of kagome antiferromagnets2020
Author(s)
Minoru Yamashita, Masatoshi Akazawa, Masaaki Shimozawa, Takasada Shibauchi, Yuji Matsuda, Hajime Ishikawa, Takeshi Yajima, Zenji Hiroi, Migaku Oda, Hiroyuki Yoshida, Hyun-Yong Lee, Jung Hoon Han and Naoki Kawashima
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Journal Title
J. Phys.: Condens. Matter
Volume: 32
Pages: 074001
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] PrTr2Cd20(Tr=Pt, Rh)の電気輸送特性と温度磁場相図2020
Author(s)
足立涼, 佐賀範彰, 細井優, 下澤雅明, 井澤公一, 町田洋, 広瀬雄介, 土塔寛, 河野琢馬, 摂待力生
Organizer
日本物理学会 第75回年次大会
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[Presentation] バルク層状磁性体に生じる非従来型異方的超伝導2019
Author(s)
櫻木俊輔, 佐々木秀, 明石遼介, 坂上良介, 黒田健太, C. Bareille, 橋本嵩広, 長島椿, 木下雄斗, 平田靖透, 下澤雅明, 浅井晋一郎, 土居抄太郎, 辻本直人, 國定聡, 野口亮, 黒川輝風, 東伸彦, 平田昂輝, T. K. Kim, C. Cacho, 益田隆嗣, 徳永将史, 和達大樹, 岡﨑浩三, 辛埴, 神原陽一, 山下穣, 近藤猛
Organizer
日本物理学会 秋季大会
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[Presentation] A non-linear Hall effect in a chiral nonmagnetic compound at zero field2019
Author(s)
K. Matsuura, M. Akazawa, M. Shimozawa, S. Fujii, M. Qiu, T. Ueno, T. Takahashi, Y. Mizukami, K. Hashimoto, T. Shibauchi, J. Gouchi, M. Yamashita, Y. Uwatoko, K. Kobayashi
Organizer
TopoMat2019
Int'l Joint Research