2019 Fiscal Year Annual Research Report
shock-wave-induced luminescence
Project/Area Number |
18K18742
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
小林 敬道 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (20260028)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 衝撃波誘起発光 / 衝撃圧縮 / 衝撃波 / ルミネッセンス / 極限環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
衝撃波が引き起こす特殊な現象を解明すること、それにより衝撃波と物質との相互作用を原子・分子レベルで理解することが本研究の目的である。衝撃波は応力波であり衝撃波による発光は応力発光の一種と考えられる。応力発光は通常の発光(フォトルミネッセンスなど)と同じスペクトルを示す場合が多く、衝撃波誘起のルミネッセンスも通常の発光と同じスペクトルを示す例しか知られていなかった。我々は粉末蛍光体(Ce:YAG)で通常の蛍光スペクトルとは大きく異なる発光が衝撃波で誘起される衝撃波誘起ルミネッセンスの初めての例を発見した。一般の励起法では得られない発光現象であり、衝撃波との相互作用による特殊な極限環境で励起される発光と考えられる。前例のない現象であったので基礎データの蓄積が重要と考え、どのような条件でこの現象は発生するのか、他の発光物質や非発光物質でも観測されるのか、ということを中心に調査したがなかなか思わしい結果は得られなかった。通常、結晶や結晶密度に近いバルク固体の衝撃圧縮では強い発光が観測されることはない。上述の衝撃波誘起ルミネッセンスも低密度粉末試料でのみ観測されたものであった。ダイヤモンド多結晶体が衝撃圧縮下で強く発光するという情報を得、ナノ粒子及びミクロン粒子のダイヤモンド多結晶体の衝撃圧縮実験を実施したところ、熱放射などでは説明できない発光が観測された。二種類の衝撃波誘起発光が初めて認められた。一つはルミネッセンスと思われるブロードな発光であり、ダイヤモンドのフォトルミネッセンスにはない発光である。もう一つは寿命の長い線スペクトルで可視領域に数本ある。これはダイヤモンドからの発光でない可能性もあるが、このような衝撃波誘起の発光は知られていない。初めの粉末蛍光体からの発光に加え、これらの発光も衝撃波誘起発光の特殊な例であり、この発光現象の解明の鍵となる重要なデータが得られた。
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