2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a space debris removal technology by a bi-directional plasma acceleration
Project/Area Number |
18K18746
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 和貴 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80451491)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 晃 東北大学, 工学研究科, 教授 (90182998)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
Keywords | プラズマ・核融合 / スペースデブリ / プラズマ推進 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙環境の利用が促進される中スペースデブリ問題が深刻化している.本研究では,1台の電気推進機のみを用いた革新的なスペースデブリ除去の原理実証を目指して,双方向加速型プラズマ推進機の原理実証と実用化に向けた研究開発を行う.初年度に双方向プラズマ流噴射の実現およびその制御とともに,推力制御およびデブリ模擬ターゲットへ加わる力の制御が可能であった状況を踏まえて,その力の制御メカニズムを解明するために,プラズマ源壁面および磁気ノズル中の運動量流束の直接計測を実施した. その結果,プラズマ源内部で加速されたイオンが壁面へと流入する際に,軸方向運動量を輸送していることが実験的に明らかにされ,プラズマ源内部の密度分布の非対称性に起因して圧力の非対称性による推力変化が起きていることを明らかにした.また,径方向運動量計測結果からは,プラズマ中へと投入したエネルギーの数10%が内壁に損失していることが示され,外部磁場によってその損失が抑制されることを明らかにした. これまでのヘリコンプラズマスラスタで得られている推進性能と,スペースデブリ除去に必要な電気推進機性能に関する文献を比較したところ,双方向加速型のヘリコンプラズマスラスタを用いて1t級のデブリを150日程度で大気圏へと軌道遷移可能な性能が得られる可能性を示した.また,将来的な実用化へ向けたRFシステム開発を実施し,周波数自動チューニング方式のRFシステム開発に成功し,再現性良くインピーダンス整合および高密度プラズマ生成が可能であることを示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スペースデブリ除去の原理実証,運動量輸送プロセスの解明,モジュール化に向けたRFシステム開発など,着実に成果を上げており,おおむね順調に進展しているといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2020年度は,デブリ除去に必要な性能を確実に得られることを室内実験で実証する.具体的には,これまでのヘリコンスラスタ開発に関する知見をベースに,双方向加速型の高性能ヘリコンスラスタを設計・製作し,推力計測とデブリ模擬ターゲットへの力を同時計測することで,室内実験においてその性能を評価するとともに,実用化へ向けた課題を明らかにする.また,スペースプラズマ,電気電子工学,制御工学に関する研究者とも議論を交わすことで,実用化および物理研究としての展開を図る.
|
Causes of Carryover |
双方向加速型プラズマスラスタに必要となる高周波回路やソレノイドコイルなどを,学内共同利用設備を用いて製作するなど研究費の効率的使用に努めたため.その経費に関しては,より推進性能を向上するための材料費として使用する予定である.
|