2018 Fiscal Year Research-status Report
高繰り返しレーザーに対応可能なユニバーサル元素型低密度レーザープラズマ源
Project/Area Number |
18K18749
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長井 圭治 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (30280803)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | レーザープラズマ / 極端紫外線 / 高繰り返しレーザー / スズ / リチウム / ガリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高繰り返しレーザー用のレーザープラズマ源の開発を大きな目的としている。今年度は、極端紫外線発生をケーススタディとして低密度スズの例として、リチウムスズ合金とガリウムスズ合金について成果をあげた。リチウムスズ合金に関しては東北大学桑田准教授との共同研究により、電気化学的手法によって合成された当該合金に高強度レーザーを照射することで、極端紫外線(13.5 nm)発光を得ることに成功した。その強度はスズ単独よりもやや高くなり、単色性が広報した。また、低密度効果として特徴的な発光の角度分布が認められた。本例はリチウムスズ合金として不純物の効果の少ない極端紫外線(13.5 nm)発光を得た初めての例である。 また、ガリウムスズ合金については、ガリウムとスズの比を系統的に変えて合成を行った。従来得られている合金の相図と同じで熱分析結果が得られ、ー20度に過冷却状態からの凝固が起こることを追試できた。この過冷却状態のマイクロ構造を走査型電子顕微鏡とその空間分解元素分析測定により調べたところ、レーザースポットサイズに近い海島構造が見られることがわかった。この合金にレーザーを集光した場合には確率的に海(ガリウム)または島(スズ)にレーザーが照射されショットごとのばらつきが生じることがわかった。ただし時間平均を取れば安定した極端紫外線発生が見られた。スズ濃度30%以上ではスズ同等の発光強度となり、その組成条件では室温付近でも液体として扱うことができることを確認できた。ノズルからこの液体金属合金を発射した。10度ではジェットとなったが、30度では液滴となり、高繰り返しレーザーに対して独立のターゲットとして連続供給可能なことが明らかとなった。特に室温付近で扱えるメリットを実証し、コンパクトな極端紫外線源へのブレークスルーとなった。 並行して高分子材料を用いた低密度材料の開発も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際誌に2報の発表をすることができたとともに、連続供給ターゲットへのブレークスルーが実現したため。
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Strategy for Future Research Activity |
高分子材料を用いた低密度材料の開発を加速するとともに、高繰り返しレーザー照射の実験も進める。可能であれば、発生する量子線の利用にも挑戦したい。
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Causes of Carryover |
今年度、スズ合金の研究に進捗があり、そちらを優先してすすめた。一方、当初優先順位の高かった有機系材料に関しても進めていたが、準備にやや時間がかかり、全体としては予算執行が遅れ残額が生じた。次年度は研究補助を雇用して、両者の研究の速度を高める。
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Research Products
(7 results)