2019 Fiscal Year Research-status Report
Experimental study of levitating micro-organisms in plasma and its application
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18K18750
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
三瓶 明希夫 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 准教授 (90379066)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 微粒子プラズマ / 微生物 / 殺菌滅菌 / クーロン結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに,低温プラズマ中に微生物を浮遊させる実験装置の作成と原理検証実験を行った.オートクレーブ処理で失活した大腸菌(E. coli)などの10μm程度の菌が13.56MHzの平行平板RFプラズマ中に浮かぶことが実験的に確認され,従来の微粒子プラズマの知見と矛盾のない結果が得られた.また,肺炎桿菌(Klebsiella pneumonia)を用いた実験ではクーロン結晶のような準秩序構造が自発的に形成されることも確認された. 今年度は,浮遊微生物のパラメータ拡充を目的として,30~50μm程度のサイズを持つ花粉を用いて浮遊実験を試みた.その結果,花粉もプラズマ中に浮遊することが確認された.30μmの粒径を持つヒノキ花粉と既知のポリマーであるジビニルベンゼン(2μm、30μm)を同時に浮遊させる実験を行った結果,ポリマーがそれぞれ独立に層をなし,その間にヒノキ花粉が浮遊するという現象が観測された.この実験事実から,既知のポリマーとの相対浮遊位置の情報が細菌種の同定に応用可能であると推測される. 上記の実験と並行して,プラズマ中に浮かぶ微生物に外部から電場を印加し,その応答を詳しく調べた.プラズマ中に円筒形の電極を挿入して電圧を印加し,微生物の応答を画像で計測した.その結果,正の電圧を印加した場合に,電極に近い位置に浮遊している微生物はダストコレクターに捕集された.一方,電極から遠い位置に浮遊している微生物は電極からより遠ざかるという現象が観測された.これは電極から近いところではクーロン力による引力が支配的である一方,離れたところではイオンフローによる斥力が支配的であることが理由である.この現象は微生物の種類に依存性があり,小さな菌種ほど小さな電位で捕集される. これらの事実は,細菌のプラズマ浮遊技術が微生物種の同定・分離への応用可能性があることを示唆するものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までに,当初計画にあった「実験装置の構築」「細菌の浮遊パラメータの探索」「プラズマ中での浮遊が細菌の外部構造に影響を与えるかの調査」「細菌による自発的な秩序構造形成」「既知のポリマーとの同時閉じ込めと相対位置の調査」が順調に進んでいる. 上記に加えて,当初計画に存在しなかった「活きた食品菌や花粉の浮遊」に成功した.更に「外部電場に対する浮遊微生物の応答」を調べ,菌種によって応答が異なることを見出した.上記の事柄から,研究計画は当初の計画以上に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
幅広いパラメータを持つ様々な細菌種に対して実験を続け,「細菌の浮遊パラメータの探索」「プラズマ中での浮遊が細菌の外部構造に影響を与えるかの調査」「外部電場に対する応答の菌種依存性の調査」「既知のポリマーとの同時閉じ込めと相対位置の調査」を引き続き行う.
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Causes of Carryover |
2019年11月から2020年3月末まで海外研究機関に長期出張したためと,コロナウイルスによる学会の中止により,当初計画時に想定していた研究発表のための出張旅費を使用しなかったため. 来年度は旅費使用に関して不明瞭な点が多いので,主に実験装置や計測システムの改良に使用する計画である.
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