2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K18756
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
酒井 道 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (30362445)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | プラズマ / メタマテリアル / 迷路探索 / 迷路探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プラズマをハードウェアとして用いて、「知能」(解の探索機能、経験からの学習機能と仮定)を実現することを目的としている。弱電離プラズマが保持する知能性に関する性質を明らかにし、それを通して、弱電離プラズマの新規応用の可能性探索と、知能性に関わる様々な自然・社会現象への視点の再発見への橋渡しを行う。より具体的には、解の探索機能としては、迷路(通路の枝分かれと行き止まりの構造の組み合わせ)を解くことを例とし、また経験からの学習機能としてはプラズマとメタマテリアルのアレイ構造の生成機能におけるニューラルネットワーク機能の実現を目指して研究を遂行している。 今年度は、弱電離プラズマにより迷路を解くことに実験的に成功し、合わせてその理論モデル構築を行った。迷路は、誘電体板上に深さ1 mm・幅1 mm・長さ10 mmの溝を単位構造とし、その溝をお互い直行する方向に揃えて迷路形状を構成した。そして、迷路上の2カ所に直径1 mmのステンレス棒を溝内に設置し、上部は石英ガラスで覆って最外周部で真空封止した。2本のステンレス棒を迷路の入口・出口と見立てて、2つの棒を電極としてバイポーラパルス電圧を印加したところ、迷路の正解経路に沿ってプラズマチャネルが形成された。このようなプラズマ生成部のパターンは、各単位溝を枝と見立てたときのネットワークにおいて、入口・出口に追加の重みを設定した上で媒介中心性を計算することで、その値の高い箇所が、正解経路を含んだプラズマ生成とほぼ一致することがわかった。 また、今年度、ニューラルネットワーク機能の実現に関する検討準備を行った。具体的には、広帯域に周波数が可変(9 kHz~6.1 GHz)の信号発生器を導入し、ニューラルネットワークのハードウェアとなるプラズマ及びメタマテリアルの周波数応答特性に対して微細に対応可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究実施計画に掲げていた、項目を計画通りに達成した。すなわち、弱電離プラズマにより迷路の解法が実現することに成功し、その理論モデルの提唱も行うことができた。また、次年度実施予定の、プラズマとメタマテリアルの複合構造におけるニューラルネットワーク機能の実現に対して、その環境整備を行うことができた。その他、関連する内容として、ネットワーク解析分野の分析手法の検討が大きく進んだ。 得られた成果は、4つの国際会議発表により社会発信している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も計画通りに研究を遂行する。大きくは、プラズマとメタマテリアルによるニューラルネットワーク素子検討を行い、種々の自然現象に関与する学習機能のモデルとなる実験系の構築を目指す。合わせて、学術論文にて、弱電離プラズマによる迷路解法と、ニューラルネットワーク機能に関する成果発表を行っていく。
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Causes of Carryover |
参加予定だった学会の参加費の支出を取りやめたため。当該学会に、次年度参加する予定である。
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