2022 Fiscal Year Annual Research Report
Measurement of the fine structure constant 11 billion years ago using a laser frequency comb and new near-infrared spectrograph
Project/Area Number |
18K18760
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
西山 正吾 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20377948)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 天文学 / クエーサー / 赤外線 / 分光 / 物理定数 |
Outline of Annual Research Achievements |
強い重力場という極端な環境と、銀河系における物理定数の不変性を調べるため、銀河系の中心にある星と、銀河系内にある星の観測を行い、微細構造定数を測定した。 銀河系の中心には、巨大ブラックホールが存在し、その周囲を星が周回している。このような極端な環境下でも、物理定数は地球と変わらない値なのか。その検証のため、ブラックホールから約4光年の距離にある星を観測した。星のスペクトルには、星の大気に含まれる元素による吸収線が見られる。微細構造定数が変化すると、吸収線の波長が変化する。つまり吸収線の波長を正確に測定することで、物理定数の変化の有無を検証できる。 巨大ブラックホールから約4光年にある星を測定し、微細構造定数を測定した結果、その値に変化は見られなかった。微細構造定数の変化率(微細構造定数の値に対する変化の割合)に対して、約10のマイナス4乗の制限をつけることができた。私たちの過去の結果(A. Hees, et al. 2020, Phys. Rev. Letters, 124, 81101)と合わせると、巨大ブラックホールから0.05光年から4光年の範囲の星8つに対して微細構造定数を測定し、変化のないことを確認できた。 また銀河系の中心、巨大ブラックホールからの距離が約100光年、約4000光年にある星を用いて微細構造定数を測定した。どちらの星でも変化は検出されず、約10のマイナス4乗の制限がえられた。全ての結果を合わせて、銀河系の広い範囲において、微細構造定数を測定し、変化の無いことを確認した。さらに新しい観測装置を用いることで、制限を数桁強くできると期待できる。
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Research Products
(6 results)