2018 Fiscal Year Research-status Report
極低エミッタンス電子蓄積リングにむけたレーザー冷却機構の開発
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18K18769
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
本田 洋介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (40509783)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 光共振器 / レーザー / 電子加速器 / 蓄積リング |
Outline of Annual Research Achievements |
将来の放射光源加速器の開発において、回折限界のX線を生成できるように、蓄積リング型のビーム性能を向上する設計研究が行われている。従来の原理に基づくと、水平エミッタンスは放射減衰によって決まるので、ビームエネルギーとリング周長を与えると限界が決まってしまう。より低エミッタンスをより小さな周長で実現するには、新たなビーム冷却原理を検討する必要がある。そこで、レーザー冷却と呼ぶ新たな原理の開発を行っている。蓄積リングの電子ビームにレーザー光をコンプトン散乱させ、電子ビームの振動を減衰させる仕組みである。大平均強度のレーザー光を実現する必要があり、自発共鳴型光共振器の技術を開発する。これは、高反射率の鏡で構成した光共振器と高ゲインのファイバー増幅器を組み合わせて、発振器を構成し、制御を必要とせずに光共振器の共鳴状態を確立することで、実効的な大強度レーザー光を実現しようとするものである。レーザー冷却システムについて、ビームダイナミクスシミュレーションと同時に、レーザーシステムの開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザー光共振器の大強度試験を行うには、真空環境が必要である。光共振器部を設置して試験できる箱型真空チェンバーの新規製作をおこなった。真空状態にしても機械的条件が安定するように、ブレッドボードを二重底構造に設計した。また、共振器を調整するための制御線を導入できるようにアクセスポートを備えたものとした。 低エミッタンス蓄積リングのビームダイナミクスをシミュレーションするため、研究協力者(山本)がフランスのSOLEIL放射光施設に滞在し、トラッキング計算の専門家のもとで計算手法を習得した。
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Strategy for Future Research Activity |
ファイバー増幅器を用いた高ゲイン高出力のレーザー増幅システムを製作する。本年度に製作した真空チェンバー内に光共振器を構成し、大気中に設置されたファイバーレーザー増幅器と合わせて一つのシステムにする。自発共鳴型光共振器として動作することを確認し、大強度パワーの実現を実証する。また、その過程において、大強度によるミラーの変形や共振器モード不安定性の問題が出てくると予想される。それらを一つづつ解決していく。 蓄積リングのビームダイナミクスのシミュレーションにレーザー冷却のメカニズムを導入する。レーザー冷却の効果と具体的に必要となるレーザーパワーについて、定量的に評価する。
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Causes of Carryover |
本年度の購入物品のうち最も大きいものは箱型真空チェンバの製作である。同時期に別の案件で設計の一部が共通する真空チェンバを製作した。このため、設計と製作に必要な費用を節約することができた。
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