2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K18774
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
和田 桂一 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (30261358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小久保 英一郎 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 教授 (90332163)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 銀河 / 惑星形成 / 星ダスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題での最初の成果である、Wada, Tsukamoto, Kokubo (2019)では、新しいクラスの天体が銀河中心の銀河中心部の超巨大ブラックホールの周りに形成されることを初めて提案した。今年度は、この研究をさらに発展させ、雪線の外側(数パーセク)での塵の凝集過程と物理的条件をより詳細に調べた。特に、ダスト凝集体の半径方向のドリフトの影響を考慮して、より詳細な研究を行った。その結果、乱流粘性を記述する無次元パラメータαが、核周円盤では0.04より小さければ、ダストアグリゲイトの破壊を防ぎ、成長することができることがわかった。 雪線付近における天体の形成タイムスケールは、巨大ブラックホール質量が100万太陽質量の場合、70ー80 x 100万年であることがわかった。われわれはこの天体を"blanet"と名付けた。blanetの質量は約20地球質量から3000地球質量になることもわかった。これらの結果から、blanetは、比較的低輝度の活動銀河核の周りに形成されやすいこともわかった。 この結果をアメリカ天文学会誌 Astrophysical Journalにおいて出版した (Wada, Tsukamoto, Kokubo 2021)。また、研究成果を日本天文学会春季年会(東京工業大学・オンライン)で発表した他、大阪大学、サンパウロ大学、国立天文台等のセミナーで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国際専門誌に査読論文を1本発表できた他、専門家向けのセミナー、学会等でも発表し、反響があり、今後の新しい研究の方向性もみえた。
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Strategy for Future Research Activity |
Paper IとPaper IIによって、blanetの形成の理論の基礎が明らかになったので、今後はさまざまなAGN環境での形成条件の追求、また星のまわりの標準的な惑星形成に関してのさまざまな理論を、AGN環境に適用するという方向性が考えられる。また、blanet systemの重力対体衝突系としての進化を、理論シミュレーションにより明らかにし、力学的安定性などを調べる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において国内外出張による成果発表、研究打ち合わせがほとんどできなかったため、旅費使用ができなかった。また、購入したPC部品などの物品が当初想定よりも安価になった。今年度は、blanet系の力学進化をシミュレーションするための機器やデータ保存のためのストレージ・消耗品の購入の他、研究発表・研究打ち合わせのための旅費に用いる。
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