2018 Fiscal Year Research-status Report
Si 高温塑性変形技術を用いた革新的なX線全反射鏡への挑戦
Project/Area Number |
18K18775
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
江副 祐一郎 首都大学東京, 理学研究科, 准教授 (90462663)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | X線望遠鏡 / シリコン / 高温塑性変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では Si 基板の高温塑性変形を用いた新しい軽量X線全反射鏡を開発する。Si を高温でプレスすることで結晶面のずれを生じ、自由な形状に変形する日本発祥の手法である。剛性が高く、軽量な Si 基板を用いることで、従来の日本のX線天文衛星に搭載されてきたフォイル方式の鏡の軽量性を保ったまま、角度分解能の向上が期待できる。これまで我々は球面治具を用いた高温塑性変形により4インチの Si 基板の球面塑性変形に成功してきた。そこで今年度は円錐治具による変形に取り組んだ。
円錐治具を用いた変形では、治具形状に合うように4インチ Si 基板を長方形に切り出し、曲率半径 100 mm 程度に球面変形する。想定する反射角は0.63度であり、焦点距離は4550 mm である。購入した厚さ 300 um、結晶方位 (110) の基板をダイシングでカットし、シリコンの融点近くの温度で凹凸治具でプレスすることで変形する。温度、プレス加重、プレス保持時間といったパラメータについて、最適と考えられる条件で変形した結果、基板の中央付近の形状精度が悪いことが分かった。原因を調べた所、治具自体の形状が悪いことが原因と考えられたため、治具の二次加工を行った。変形基板をJAXA 宇宙科学研究所の 30 m ビームラインでX線照射を行った所、基板中央付近で約30秒角を達成した。ただし、基板端では1分角を越えていた。
そこでさらに基板全体での結像性能の向上を目指し、治具形状の改善を進めた。具体的には加工機、加工時の母材の固定方法や刃の形状を予め測定し、加工プログラムに補正を入れるなどした所、曲率半径の形状精度は凸治具で30 um以内、凹治具で5 um以内、母線方向の残差も0.5 um (1σ)以内と数倍改善した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に記載した通り、目標とする Si 基板の円錐変形を実施し、治具形状に原因があると考え、その改良を行い、X線で評価した。そして部分的にではあるが1分角を優に切る角度分解能を得た。さらに基板全体の変形精度をX線や形状測定から評価して、治具形状にフィードバックをかけて、これまでで最も良い形状精度の治具を完成した。さらなる改善が期待できるため、全体としておおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに形状を改良した治具を用いて Si 基板を変形し、再び JAXA 宇宙科学研究所でX線照射試験を行う。Al Kalpha 1.49 keV にて、0.1 x 10 mm に絞り基板全面をくまなくスキャンすることで全面の性能を調べることができる。次の段階として結果は基板形状と変形条件の最適化へとフィードバックすることが考えられる。さらに、基板表面へ原子層堆積法を用いて Pt などの重金属を膜付けして性能評価することも行いたい。既に表面粗さの小さな原子層堆積法による Pt 膜付けもテスト済みである。
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Remarks |
投稿論文を準備中。学位論文(修士)1件を予定。
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[Journal Article] Applied Optics2018
Author(s)
K. Takeuchi, Y. Ezoe, K. Ishikawa, M. Numazawa, M. Terada, D. Ishi, M. Fujitani, M.J. Sowa, T. Ohashi and K. Mitsuda
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Journal Title
Pt thermal atomic layer deposition for silicon X-ray micropore optics
Volume: 52
Pages: 3237-3243
DOI
Peer Reviewed
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