2018 Fiscal Year Research-status Report
Super-resolution imaging for understanding hierarchical structures produced by water-rock reactions and mass transfer
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18K18778
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡本 敦 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (40422092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 敏明 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10391898)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | スパース超解像 / X線CT / 岩石―水相互作用 / 蛇紋岩 / オマーンオフィオライト / マグネタイト / 岩石組織 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
固体である地球内部において、少量の流体が化学反応を劇的に促進させるため,ダイナミックな地球現象の理解には,マクロな流体移動とミクロな反応過程を結びつけた全体像を把握する必要がある.X線断層撮影(CT)は岩石の3次元構造をみる手法として期待されているが,通常の試料サイズでは細かい反応組織まで観察する解像度が得られないなど,定量的な解析には限界があるのが現状である.本研究では,X線CTのスパース超解像を軸に,ミクロとマクロをつなぐ新しい岩石の解読方法を開発し,地球内部の階層的な反応性流路の発達過程の解明に挑戦することを目的とする.本年度は、その軸となるスパース超解像のアルゴリズムの開発と、適用対象である蛇紋岩化試料の試料準備と解析を進めた。スパース超解像技術では、高解像度において基底学習を行い、低解像度におけるスパース係数を高解像度に展開する。係数にL1正則化を加えることで,できるだけ少数の基本画像で高解像度画像を記述できるように学習する。きれいに復元したいパターンに応じてパッチサイズや学習の仕方をカスタマイズする必要があり、本年度は蛇紋岩のなかでもっとも特徴的なマグネタイトに着目した。現状では、2倍超解像まで成功して、4倍超解像を試みている。海洋底の地殻―マントル境界を明らかにするための国際プロジェクトオマーン掘削プロジェクトに参加し、そのコア記載を行なった。オマーン掘削では、掘削船「ちきゅう」の医療用CTスキャナで400mにもおよぶX線CT画像が得られている。一方で、その一部の試料を持ち帰り、より高精度のX線CT画像を実験室のマイクロフォーカスX線CTで取得し、それを用いて超解像技術を進めている。両者には解像度のギャップがあるために、一度に高解像にすることは困難であるが、複数の解像度で取得したデータを用いることで、段階的な超解像にチャレンジする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,岩石のX線CT画像に適用するための超解像技術の開発を進めるとともに、その技術を適用する蛇紋岩化作用が進んだ海洋底岩石試料の収集を行なった。スパース超解像では,高解像度において基底学習を行い,低解像度におけるスパース係数を高解像度へ展開する.係数にL1正則化を加えることで,できるだけ少数の基本画像で高解像度画像を記述できるように学習するのが「スパース」超解像の特色である.本年度は、マントル岩石が変質した蛇紋岩に着目して、直径10mmのコアを用意した。岩石組織のなかでも、他の鉱物と比べて高いCT値を示し、特徴的な空間分布を示すマグネタイトについての超解像を適用するために、マグネタイトの形状の特徴的なパターン(球形粒子形や脈状の並びなど)を表現できる辞書をつくる必要があり、学習データの数や、パッチサイズなどの試行錯誤を行っている。現状では、ボクセルサイズ20 ミクロンメールから10 ミクロンメールへの2倍超解像が成功している。 7月に掘削船「ちきゅう」において、国際プロジェクトであるオマーン掘削プロジェクトのコア記載に参画した。このプロジェクトでは、ちきゅうの実験室の中の医療用X線CTスキャナーを用いて、地殻とマントルを貫く400 mの連続コアCTデータ(ボクセルサイズ160μm)が取得されており、同時に深度にそった様々な物性、岩石学的データが取得された。本課題では、この貴重なコアの一部をX線CT用に採取し、東北大学のマイクロフォーカスX線CTスキャナをもちいて、ボクセルサイズが10, 20, 40, 80ミクロンメールのデータを取得した。申請書段階では、オマーン掘削データを用いて解析できるかどうかが定かでなかったため、海洋底の地殻-マントル境界の変質作用を知るうえで極めて重要なコアを使って本研究を進められているのは大きな進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
一般的な超解像技術では2-4倍超解像が普通であり、低解像度だが広範囲のちきゅうでの医療用X線CTスキャナによる画像(ボクセルサイズ160ミクロンメール)と、実験室のマイクロフォーカスX線CTスキャナによる画像を結びつけることは、魅力的であるが非常に困難である。本研究では、同一試料に対して、様々な解像度のデータ(ボクセルサイズ10, 20, 40, 80ミクロンメール)を取得していることを利用して、段階的な超解像を行うことによって、様々なスケールの組織の超解像を行い、この障壁を超えることを試みる。まずは、4倍超解像と2倍超解像を2回行うことでどれだけ表現力が変化するかを評価するところから始める。最終的には、実験室に持ち帰れる少量のコア試料で学習することで、ちきゅうのX線CTデータの膨大なデータに超解像を試みることを目指す。 また、現状ではXY断面(コアの円形断面)をもちいた2次元の超解像を行っている。一方、コアのデータは深さ方向(Z方向)変化が重要なのにも関わらず、ちきゅうのコアデータは、Z方向の解像度の方が倍以上粗くなっている。本課題では、動画などの時間データを用いた超解像技術を応用して、Z方向の超解像を試みる。 また、高解像度のデータから特徴的な鉱物(マグネタイトのみ)を抽出し、その空間構造を定量的に評価する方法論の確立を進める。さらに、開発した同技術を多様な岩石(ざくろ石斑状変晶を含む変成岩、炭酸塩化したマントルかんらん岩、変質したはんれい岩など)に適用することで、その技術の有効性と利用の仕方を明らかにする。また、人工的に水熱実験で作成した変質岩にも適用する。そのなかで、岩石―水相互作用によって作られる階層的な反応組織(き裂、変質鉱物分布、空隙)について、スケール依存性、不変性を明らかにすることで、そのプロセスを明らかにする。
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Research Products
(23 results)
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[Presentation] Hydrothermal Alteration of the Crust-Mantle Transition and Upper Mantle in the Samail Ophiolite: Insights from Holes CM1A and CM2B of the Oman Drilling Project2018
Author(s)
Frueh-Green, G. L., Grabowska, M., Oyanagi, R., Kimura, K., Klein, F., Okamoto, A., Morishita, T., Warsi, N., Tamura, A., Teagle, D.A.H., Takazawa, E., Coogan, J.A.., Kelemen, P.B., Matter, J.M., the OmanDP Phase 2 Science Party
Organizer
American Geophysics Union, Fall Meeting 2018
Int'l Joint Research
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