2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K18779
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 智樹 東北大学, 理学研究科, 教授 (20260721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三部 賢治 東京大学, 地震研究所, 助教 (10372426)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 水熱変成 / 炭素質隕石 / 脱水 |
Outline of Annual Research Achievements |
木星の形成時の天体内部における物質進化過程を明らかにするために、木星の材料物質である含水炭素質隕石に対し、水存在下での加熱加圧実験を行うのが本研究の目的である。惑星形成の初期段階で巨大化した含水炭素質小惑星では、天体内部の温度が上昇し、水が存在する高圧下での加熱現象が起こっていたと考えられる。本実験におけて解明すべき重要なポイントは、超臨界水により太陽系始原物質がどのように物質変化するかを理解することである。高温高圧(374℃以上、218気圧以上)でじる超臨界水は通常の水とは異なる特性を持つ。太陽系の未分化物質(始原隕石)と超臨界水との反応については何一つ解明されていないが、この反応こそが巨大惑星へ進化する小惑星内部で起こった大きな物質変化を引き起こしたと考えている。 今年度はこれまでに行ってきた予備実験のデータを整理し、来年度に行う新規の実験の手法について検討した。予備実験では含水炭素質隕石を800℃、76MPa、水岩石比4の条件で100時間加熱加圧した。その結果、含水鉱物に富む含水炭素質隕石が、脱水し輝石とマグネタイトに変化していた。元素のマスバランスを考えると、輝石に富む鉱物組成になったことは、Feがマグネタイトに移行したか、Mgが水溶液中に離脱した可能性がある。また、800℃の高温にすると、封入した水が高い確率で金や白金tチューブから漏れ出していることが分かった。以上の予備実験結果から、今後は含水鉱物が脱水する温度域の中での最低温度付近(400~500℃)での実験を複数回行い、実験産物に再現性が得られるかを検証していくことになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験をすでに行っていたので、そのサンプルの分析およびデータの解析を行うことで、今後の実験の方向性をきめることができた。来年度の新規の実験の手法について、今年度の活動で具体的な方針を決めることができたので、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
含水隕石のアナログ物質(地球の蛇紋岩)を用いて、水岩石比1程度、温度400~500℃で水熱変成実験を行う。この実験を数回繰り返すのことで、実験手法の確立と実験結果の再現性を確保したい。その後、実際の含水炭素質隕石を用いて、水熱変成実験を行い、木星型惑星形成初期の天体内部での物質進化過程に関して考察を行う。
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Causes of Carryover |
すでに行っていた予備実験の多くのデータを解析することに集中したので、今年度は予算を使わずに研究が推敲できた。一方で、次年度は多くの新規実験を行うので、今年度分と次年度分を合わせて実験に必要な物品などを購入し、計画通りに実験を進めていく予定である。
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