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2019 Fiscal Year Research-status Report

冥王代熱水系における二酸化炭素流体を用いた生体高分子合成実験

Research Project

Project/Area Number 18K18783
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

藤島 皓介  東京工業大学, 地球生命研究所, 特任准教授 (00776411)

Project Period (FY) 2018-06-29 – 2021-03-31
Keywords二酸化炭素流体 / 化学進化 / 高圧環境 / 相分離
Outline of Annual Research Achievements

今年度はまず研究実施計画に基づきアミノ酸や核酸前駆体などの生体関連分子の液体CO2への溶存を確認するための模擬実験を行った。タンパク質を構成するアミノ酸(Gly, Leu, Phe, Ala, Trp, Pro, Lys, Asp, Ala)に加え炭素質隕石などからも発見されているβ-Ala, AIBさらにジペプチドAla-Alaの溶存度を測定するため、誘電率が近い非プロトン溶媒の酢酸エチルへの各物質の溶解度を調べた。その結果、環構造を持つPhe, Trp, Proの溶解度が最も高く、次いで疎水性側鎖を持つLeu、β-Ala、AIB、側鎖が小さいGlyとAlaは溶けにくく酸性アミノ酸のAspはほぼ溶けない事がわかった。また今年度からリーク問題があった窓付きの専用耐圧容器に代わり、並列に有機物反応実験ができるような小型耐圧リアクターを複数台準備し、アミノ酸と核酸前駆体の反応実験系を構築した。アミノ酸に関しては、先の実験で異なる溶解度を示した疏水度の異なる2種類のアミノ酸(Ala, Phe)を用いて、異なる圧力、温度、加熱-冷却循環のサイクル数で反応させた。その結果、AlaとPheが共在する環境で120℃, 12MPa, 10回加熱-冷却循環させたサンプルの中に基質アミノ酸とも想定されるAla-Phe等ジペプチドとも異なる未知のピークがイオンクロマトグラフィーによって確認できた。今後はNMRやMS/MSといった詳細分析によって生成物を明らかにする予定である。同様に核酸前駆体に関しても6種類の塩基(シトシン、ウラシル、チミン、アデニン、グアニン、キサンチン、ヒポキサンチン)と五炭糖(リボース)の反応によってCO2流体存在下で生成しうる6種類のヌクレオシド合成の可能性に関して実験を進めていく。すでに各前駆体及び生成物の標品を用いた最適なHPLC分離条件を同定済である.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

今年度は、実験室内での再現実験系の立ち上げと分析方法の最適化に尽力した。まずリーク問題が度々発生していた大型の専用耐圧容器から、小型の窓なし耐圧リアクターに切り替えたことで、テフロン内筒による偽反応の抑制や、オイルバスによる温度管理など、複数の反応条件を並列に行い比較解析するための実験系がようやく完成した。そして研究課題であるアミノ酸と核酸前駆体に関しては、すでに一部の基質を使って実験を進める事ができた。初年度の遅れはやや取り戻したが、当初予定していた二年目での反応実験の結果を出すにはまだ至っていない。

Strategy for Future Research Activity

最終年度では液体CO2-水の二相環境下において様々な条件(温度、圧力、金属イオンの有無など)で有機物毎の反応性や最終生成物をHPLC、LC-MS/MS、NMRなど各種分析法を用いて明らかにする。具体的にはAlaやPhe以外のアミノ酸(Pro,β-Ala, AIBなど)そしてアミノ酸の前駆体のヒドロキシ酸 (乳酸など)とアンモニアの反応によるアミノ酸合成実験を予定している。また核酸前駆体に関しては6種類の塩基と五炭糖(D-リボース)の反応で得られる生成物・分解物を分析しヌクレオシド形成の有無を確認する。また糖-リン酸の合成、ヌクレオチド合成の可能性を見据えて、リン酸/亜リン酸を系に加えることで有機物へのリン酸付加反応に挑戦する。工学的には小型リアクター内にマイクロスターラーを設置し、物理的に攪拌する事により水相に含まれる極性基質とCO2流体に含まれる疎水性基質の反応の促進を試みる。反応の局在性は本研究では明らかにできないが、将来的に窓付き高圧リアクターとラマン分光法を組み合わせる事で液体CO2-水の界面で特異的に生じる反応かどうかを特定していきたい。

Causes of Carryover

今年度途中から、研究を加速させるため海外のポスドク研究員を1名本研究にアサインしたが、博士号取得のタイミングとの兼ね合いで着任が予定よりも少し遅れたため次年度使用額が生じた。来年度は引き続き研究員の人件費に多くの経費を割くとともに、分析に必要な消耗品などは適宜購入する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] Supercritical fluids in the search for origins-of-life in Earth and beyond2020

    • Author(s)
      CANER AKIL
    • Organizer
      JpGU-AGU Joint Meeting 2020
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2021-01-27  

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