2019 Fiscal Year Annual Research Report
Validate the archaea-generating-hypothesis of manganese nodules
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18K18787
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
白石 史人 広島大学, 理学研究科, 助教 (30626908)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | マンガン団塊 / マンガンクラスト |
Outline of Annual Research Achievements |
マンガン団塊・マンガンクラストの成因を理解するため,南太平洋の深海底から採集されたマンガン団塊および三瓶温泉のマンガンクラストに対して,構成鉱物および生息する微生物の検討を行った. 三瓶温泉のマンガンクラストに関しては,前年度に確立した微生物検出法などの学際的手法を適用し,その形成に生物的プロセスが大きく寄与していることを明らかにした.この成果に関しては日本地球惑星科学連合2019年大会および日本微生物生態学会第33回大会において招待講演を行い,またGeochimica et Cosmochimica Acta誌にも論文を発表した. 南太平洋のマンガン団塊に関しては,微小ぶどう状起伏を持つ最表面部から集束イオンビーム加工によって薄膜試料を作成し,透過型電子顕微鏡で観察を行った.その結果,マンガン団塊においてマンガン酸化反応に関与していると予想していたThaumarchaeota Marine Group Iの細胞とほぼ同じ大きさの内径を持つ“中空”構造が多数存在することが明らかとなった.この中空構造周辺のマンガン酸化物は,電子線回折像からMn(IV)鉱物であるバーナダイトであると推定された.このマンガン酸化物の価数および中空構造内部の有機物分布を明らかにするために,薄膜試料に対して走査型透過X線顕微鏡観察も行った.その結果,マンガン酸化物は光酸化もしくはGaイオンビームダメージのためにMn(II)鉱物へと変質しており,価数分布の評価は困難であった.また有機物分布に関しても,試料を包埋する樹脂のバックグラウンドシグナルによって評価が困難であった.いずれにしても,これまでに得られた結果は本研究計画の作業仮説と整合的であり,今後の研究によって走査型透過X線顕微鏡観察を用いたマンガン酸化物の価数および有機物の分布を評価する手法が開発できれば,微生物がマンガン団塊形成に果たす役割をさらに明らかにすることができると期待される.
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Research Products
(6 results)